今や世界中のセレブもLabubuに注目していると言われ、実際にシンガーソングライターのリアーナがバッグに付けているのが目撃されているし、元サッカー選手のデイビッド・ベッカムも娘からのプレゼントのLabubuをキーホルダーに付けていることが知られている。

 TikTok上でも、Labubu関連の話題がすでに合計10億回ものアクセスを達成したという。

「開けてみないとわからない」というマーケティング戦略

 この人気の原因の一つは、ポップマートのマーケティング戦略の巧妙さにある。

 調べてみると、ポップマートは2010年に中国で日本や海外の雑貨やキャラクターグッズを売る店舗としてビジネスを開始した。その後、日本の人気キャラクターアイテム「ソニーエンジェル」の中国代理契約を獲得し、その際に「盲盒」という販売戦略を取り入れたことで大きな話題となった。

「盲盒」とは、日本の福袋やガチャガチャのように、買い手がその中身を選ぶことができない「ブラインドボックス」と呼ばれる販売手法のことだ。買ったはいいものの、届いた箱を開けるまで中から何が出てくるかわからないという「ワクワク」感をマーケティングに巧みに取り込み、大成功を収めた。この手法はその後、さまざまなオンラインマーケティングビジネスでも真似されるようになり、日本でも「ブラインドボックス」の名前で広まっている。

箱の中にどの種類が入っているか分からない状態で買う「ブラインドボックス(盲盒)」。箱に書かれた1~6番目のキャラクターのほか、7番目のシークレットが出てくる可能性も。(香港のPOPMART店舗で筆者撮影)箱の中にどの種類が入っているか分からない状態で買う「ブラインドボックス(盲盒)」。箱に書かれた1~6番目のキャラクターのほか、7番目のシークレットが出てくる可能性も(香港のPOPMART店舗で筆者撮影)

 この手法の大成功によってポップマートの売り上げは急激に伸び、設立から10年後に香港証券取引所に正式上場を果たした。さらに、このところのLabubu人気で同社の株価は大幅に押し上げられており、6月9日の時点でその企業価値は3400億香港ドル(約6兆2500億円)にまで跳ね上がった。

 Labubuも「ブラインドボックス」による「ワクワク」感が、ファンやコレクターたちの関心を強く刺激している。また、次々と新デザインや新色、そしてさまざまな表情のLabubuが絶えず市場に投入されており、ファンたちの購買欲をかき立て続けている。