5年後の業界地図2025-2030 序列・年収・就職・株価…#5Photo:z_wei/gettyimages

新卒の就職者数は、企業の成長力や経営戦略、さらには“序列”を表す分かりやすいバロメーターだ。新卒採用数が伸びている企業は、それだけ業績に勢いがあるといえるほか、新卒採用数が減った企業であっても、その背景にある“業界構造”をひもとくことが可能だ。そこで特集『5年後の業界地図2025-2030 序列・年収・就職・株価…』の#5では、ここ10年で新卒の就職者数が減少した企業のランキングと、主要大学別の内訳をお届けする。これを見れば、10年間での企業の浮沈が一目瞭然だ。(ダイヤモンド編集部 山本 輝)

10年で新卒の就職者数が減った企業は?
主要151社ランキング

 新卒の大学生を数多く採用しているのはどの企業か――。

 新卒採用は、企業の“勢い”を表す分かりやすいバロメーターだ。新卒の就職者数が大きく増加していたり、難関大学の卒業生などを数多く獲得していたりすれば、それだけ成長力が高く、競争力も高い企業であることの証しとなる。

 一方で、近年では、転職が一般的になり、即戦力である中途採用に軸足を移す企業のほか、新卒の一括大量採用から精鋭採用へとかじを切るような企業も存在する。新卒採用を減らした企業であっても、その動向には企業の人材戦略が色濃く反映されており、その中身を分析することで、業界構造や企業の採用戦略の今後を占うことも可能なのだ。

 そこで今回、企業ごとの新卒採用の動向をあぶり出すべく、大学通信提供のデータを基に、「10年間で就職者数が減少した企業ランキング」を作成した。

 具体的には、2014年3月と24年3月に卒業・修了した就職者数からその増減を集計。比較可能な主要351社のうち、就職者数の増加数ワースト151社をランキングした。さらに、東京大学・京都大学、早慶上理、関関同立、MARCHで区分した内訳も掲載しているので、採用の“質”についてもチェック可能だ。

 なお、残りの200社については、「就職者数が増加した企業」ランキングとして、本特集の#2『新卒就職者数が増えた企業ランキング【過去10年・200社】10位NEC、5位キーエンス、1位は?主要大学別の内訳も公開!』で公開しているので、併せてチェックしてほしい。

 上位には、新型コロナウイルス禍でダメージを大きく受けた旅行業界のエイチ・アイ・エス(HIS)のほか、かつて栄華を誇りながらも縮小が続いてきた東芝など、“業績の苦境”が表れた企業がランクイン。一方で、スリム化に大きくかじを切るなど、産業構造の転換を象徴するような企業も数多く入った。

 大手商社、銀行、保険、建設、精密機器、機械、サービス、IT、食品、製薬……大手企業が熾烈な“人材獲得合戦”を繰り広げる中で、“採用強者”の序列から滑り落ちたのはどの企業か。その全貌を大公開していこう。