「ドラマの長期撮影で、地方に来ていたんですよね。昔から有名な女優さんだから当たり前のように街なかでは見かけていたんですけれど、数年前に夜の街で見かけた時に、あっ、隣にいるのは俳優の○○さんだな、と思って。次、2週間後に見かけた時も、何カ月か後に見かけた時も、同じ俳優の○○さんと一緒にいたから『あ、あの2人は付き合ってるんだ、再婚するのかな』って思っていたら週刊誌に出た。あの2人はかなり長く付き合ってましたよ」

知りたくないものも知ってしまう絶望

 視界に入ったら漏れなく「あの人だ」と認識するのだから、映像記憶能力者から隠れることなんかできないんじゃないだろうか。でもそれ、見たくないものも見ちゃいませんか……?

文春が知ったら飛びつくぞ…男性カメラマンが持っていたすごいけど面倒な「特殊能力」とは?気づかなくてもいいことに気づいてしまって「知りたくなかった」と落ち込んだりすることもある(写真はイメージです) Photo:PIXTA

「そう、知りたくないものも知ってしまうんですよ……。同級生の不倫とかね。あっアイツ、あの女の人とまた一緒にいるな、そういう仲だったのか、とか。雑踏の中に知っている顔がたくさんあるから、気づかなくてもいいことに気づいてしまって『知りたくなかった』と落ち込んだり。街の中を歩いていると情報や刺激が多くて、疲れちゃいますよね」

 ううむ、映画の「X-MEN」や「アベンジャーズ」で見た通り、特殊能力者ゆえの苦悩というものがやはりあるんですね……。でも人探しをするには彼のような人がいたら百人力、どうりでFBIも欲しがるわけだ。彼が週刊誌のカメラマンになって都内に潜入したら、きっと政界も芸能界もひっくり返るようなスクープだらけになるのでは。この話、文春には内緒にしておこう。

(コラムニスト 河崎 環)