早慶2強がトップを争う
求められる人材像は?

 野村證券の24年のランキングでは、慶應義塾大学(49人)と早稲田大学(27人)が他大学を引き離して上位を占めている。例年通りとも言える傾向だが、慶應義塾大学は前年より21人増えた。

 慶應義塾大学は、研究成果の事業化を目的としたベンチャー企業の育成に力を入れており、野村ホールディングス(野村證券の親会社)と共同でベンチャーキャピタルを設立するなど、さまざまな産学連携の取り組みがある。

 同社が求める人材像(高いコミュニケーション力・地頭の良さ・営業適性など)に、早慶の学生が合致していることが背景にあると見られる。

 加えて関関同立のうち、関西学院大学が3位、同志社大学が7位、立命館大学が8位にランクイン。またMARCHのうち、明治大学が5位、立教大学が8位、青山学院大学10位にランクインするなど、東西の有名私立大も堅調だ。

 国立大学に関しては、東京大学は4位、京都大学は6位、筑波大学は10位にとどまっており、私立大学に比べてやや控えめだ。銀行など金融他社との競合、IT・コンサルティングといった他業界志向が影響していると見られる。

 大和証券は、早稲田大学(41人)が1位、慶應義塾大学(36人)が2位で野村證券と同様にツートップを占めた。2強が2大証券会社でトップ争いをしている構図が鮮明だ。

 早稲田大学と大和証券グループは産学連携協定を締結し、人材育成やカーボンニュートラル実現に向けた教育・研究・起業支援などで協力し、持続可能な社会の実現を目指すなど関係が深い。

 中央大学と関西学院大学が3位で並び、東西の有名私大の存在感も大きい。立教、同志社、立命館、青学、法政、明治などMARCH・関関同立勢が上位に並ぶ点からも、コミュニケーション能力やチーム適応力が重視されていることがうかがえる。
 
 野村證券と比較すると、大和証券の方がやや私立大学から多く採用する傾向にあり、両社で微妙に異なることが分かる。

 いずれの証券会社も、単なる学力より「実行力」「粘り強さ」「対人折衝力」などを重視し、学生時代に積極的に活動してきた人材を評価する方針がうかがえる。

*この記事は、株式会社大学通信の提供データを基に作成しています。