
6年制薬学部に入学して6年間のうちに薬剤師国家試験合格までたどりつく学生は、実は6割に過ぎない。連載『教育・受験 最前線』では、全国薬学部の実力と経営にランキングで切り込む「薬学部ランキング」を複数回にわたってお届けする。初回は全国私立57薬学部について「国試ストレート合格率」ランキングを作成した。(ダイヤモンド編集部副編集長 臼井真粧美)
薬学部が一番気にしている
「国試ストレート合格率」
薬学部の運営陣が一番気にしている数値、それが「薬剤師国試ストレート合格率」であると薬学部関係者は明かす。ここでいう国試とは、薬剤師の国家試験。国試が終わるとすぐに公表される大学別合格率は、必ずしも実態が反映されない。私立大学の薬学部では、国試合格の見込みが薄い学生に受験をさせないことで合格率を上げたりするからだ。
国試ストレート合格率は、6年制薬学部に入学した学生が留年せずに6年間のストレートで国試に合格する割合であり、これこそが薬剤師輩出の実力をあらわにする数値と言っても過言ではない。
2024年国試(第109回)でみると、国立大学薬学部トータルの合格率は83.9%で、2018年度入学生のストレート合格率は平均80.2%、公立大学はトータルの合格率が85.7%で、ストレート合格率は79.0%。私立大学はトータルの合格率が68.4%で、ストレート合格率は57.6%。
私立大学は、特にトータルの合格率とストレート合格率の乖離(かいり)が大きい。先に触れたように、成績が悪い学生は留年したり、卒業試験に落第したりして国家試験までたどり着けないが故に、乖離が生まれるのだ。
そこでダイヤモンド編集部では、私立大学57薬学部を対象に、過去5年間の国試ストレート合格率に基づいてランキングを作成した。
次ページでは、このランキングを一挙公開する。ランキング上位に入るということは、薬剤師を輩出する実力が高いということ。3位は慶應義塾大学、2位は星薬科大学、では1位は?そして実力が低いことを露呈されたランキング下位はどこなのか。