
6年制薬学部に入った学生の約1割は卒業を待たずに退学してしまう。この退学率、大学によっては3割、4割にも達する。連載『教育・受験 最前線』では、全国薬学部の実力と経営にランキングで切り込む「薬学部ランキング」を複数回にわたってお届けする。第2回は全国私立57薬学部について「退学率」ランキングを作成した。(ダイヤモンド編集部副編集長 臼井真粧美)
薬学部が2番目に気にする「退学率」
4割が退学してしまう大学も
薬学部の運営陣が一番気にしている数値は、「薬剤師国家試験ストレート合格率」であると薬学部関係者は言う(『薬学部「国家試験ストレート合格率」ランキング【全国私立57薬学部】3位慶應義塾、2位星薬科、1位とワーストは?』参照)。この関係者は続けて「ストレート合格率の次に気にしているのが『退学率』」と明かす。
大学は国試合格率を上げたいがため、国試合格の見込みが薄い学生を卒業試験の段階で落として国試受験をさせない。あるいはなかなか進級させてくれない。だから国試が終わるとすぐに公表される大学別合格率と、留年せずに6年間のストレートで国試に合格する割合であるストレート合格率の間に乖離(かいり)が生まれるのだ。
留年した学生の中には、勉強についていくことを諦めたり、学費が膨らむことが負担になったりして、退学する者が出てくる。
2018年度入学者における6年間の退学率(退学、転学、転学部、転学科、除籍等を含む)を見ると、国公立大学の6年制薬学部は1割に満たないが、私立大学のそれは1割を超える。
ダイヤモンド編集部では、私立大学57薬学部を対象に、2018年度入学者における6年間の退学率を高い順にランキングを作成した。私立薬学部の中での差が大きく、57薬学部のうち24薬学部は退学率1割未満なのに対し、14薬学部は2割以上。さらに言えば6学部は3割以上で、なんと4割を超える大学まである。
具体的には、退学率が最も低かった福岡大学のそれは1%に満たない。対してランキング3位の医療創生大学、2位の日本薬科大学は3割を超える。では1位は?
次ページでは、ランキングを一挙公開する。このランキングから、薬剤師を育てる実力が高い大学の退学率は低くなりやすく、その実力が低いと退学率が高くなりやすいことが読み取れる。