
消費者物価、8カ月連続3%以上の上昇でも
基調的な物価上昇率は2%より低いと判断
消費者物価指数(総合)は、直近公表の7月も前年同月比3.1%の上昇率になり、日本銀行の物価目標である2%を40カ月連続で上回っている。コメの価格上昇が顕著になり始めた昨年末以降は、3%を上回る状態が8カ月続いている。
物価目標に照らせば、日銀はインフレ抑制に失敗しているように見える。それでも日銀は、政策金利を0.5%という低水準に据え置いたままだ。
このことについて植田和男総裁は「基調的な物価上昇率はなお2%を下回っている」(7月31日の記者会見)と説明している。「基調的」に見れば物価目標率はまだ目標より低いので、金融緩和を続けてもっと物価上昇率を上げた方がよい、というわけだ。
基調的な物価上昇率というのは、特別な価格変動を除いた物価上昇率のことだ。特別な価格変動とは、例えば今年のコメである。コメの価格は一時、昨年の2倍になった。猛暑の影響もあって今後もコメ価格は大きく下がらないかもしれないが、さすがに来年も2倍に跳ね上がるとは考えられない。だから今年のコメの価格上昇率は特別だったと見なすことができる。
問題は、物価全体のうちどこまでを特別な、したがって持続しない物価上昇と考えるかだ。
この判断は難しいが、日銀はコメだけではなく最近の食料価格全般についても「今だけの値上がり」の要素がかなりあるとみている。食料インフレに関するそういう見方が、「基調的な物価上昇率は2%を下回る」という判断につながっている。
実際、エネルギーや食料を除くと7月の上昇率は+1.6%であり確かに2%を下回っている。
日銀の年内利上げはありそうにないというのが大方の見方だ。だがそれでも波乱の要素はある。