上司との関係性云々は関係なく、歯を食いしばって結果を出すことでキャリアを上げていけるのは、サラリーマンもプロ野球選手も一緒だと思います。

 私が若かった頃は指導者から「俺の言うとおりにやっておけ」と強制され、やりたくないきつい練習でもやらざるを得ませんでした。

 でも、そこでただ言われたことをこなすだけでなく、「どうしてやらされるのか」「何が目的なのか」と自分なりに考え、その練習の意味を問い、少しでも自分の身になるようにしていました。

 結果を出して上司を見返してやるという強い意志があれば、逆境も己の成長の糧になるはずです。

 仕事や野球における問題の多くは、実は「上司とうまくいかない」ということに限らず、コミュニケーションの不足に起因していることが多いと私は考えています。

「上司が変わった人だからうまくいかない」と思っている人も多いかもしれませんが、自分が上司に対して無意識に反発したり、不満な態度を表してしまったりすることでその関係性が悪化することは多々あります。

話し方や声色の工夫で
上司との関係は変えられる

 そこで大切になってくるのは、どんなときも「明るく、元気に、楽しく、真剣に取り組む」という姿勢です。

 監督時代、私は選手たちに「どんなに嫌なことがあっても、まずは明るく振る舞い、元気に行動することを心がけよう」とよく言っていました。

「おはようございます!」と大きな声で挨拶をしたり、指導を受けたときに「ありがとうございました。がんばります!」と明るく返事をすることで、相手の印象も変わります。そういったことを続けていくことで、上司とのコミュニケーションもスムーズになり、徐々に関係が改善していくこともあるのです。

 上司に対して「理不尽だな」と感じたことは私もあります。しかし、そこでただ反発しているだけでは、状況は変わりません。大切なのは、自分自身が変わる努力をすることです。

 普段から「どのように話しかけるといいか」「どう対応すれば相手が不快に思わないか」をシミュレーションしておくことも大切です。