
日米上回る独DAXなど欧州株の上昇、
EUの政策転換に世界が注目
日経平均株価はこのところ史上最高値更新にわくが、欧州の株式市場の活況はその上をいく。2025年に入ってから上昇基調が続き、ユーロ高も進行した。特にドイツの主要株価指数DAXの年初来騰落率は約+20%と、米S&P500や日経平均を大きく上回るパフォーマンスだ。
足元のEU経済は、トランプ関税を受けた駆け込み輸出の影響を除けば好調とは言えない。それにもかかわらず欧州株が好調を維持しているのはなぜか。第2次トランプ政権の発足後、多くの投資家は不確実性を増した米国から投資を分散する必要に迫られた。そうした状況下で、「自立」に向けて政策を大胆に転換した欧州が見直され、米国に代わる投資先として選好されている。
期待が高まるきっかけとなっているのは、2期目に入ったフォン・デア・ライエン委員長が目玉政策として打ち出した「競争力コンパス」によるEUの競争力回復を狙うさまざまな政策だ。
ロシアのウクライナ侵攻によるエネルギーや安全保障の不安に加え、自国第一を掲げるトランプ政権の発足、中国との競争激化という「三つの外圧」のもとで、EUの経済、防衛面での「自立」をめざす。
とりわけ、EU各国の防衛費増強、ドイツのインフラ投資拡大など積極財政への転換は、成長を後押しする即効薬として期待できる。試算では、2026年以降、5年間のEUの経済成長率は年平均1.5%程度まで上昇する。
トランプ米国の自国第一主義への対応では、日本とも利害は共通しており、日本にとっても政府、企業レベルでEUとの連携や協業が期待できる。