ITエンジニア・DX人材の採用を成功させる、“ハイブリッド面接”の適切な方法

かつて、日本の企業の多くは、システムの開発をSIerなどに発注していたが、昨今は「内製化」傾向が高まっている。一方で、ITエンジニアやDX人材は超売り手市場で、「思うような人材を獲得できない」という人事担当者の悩みを聞く。自身が元エンジニアであり、人材エージェント会社で2000名以上のエンジニアの転職をサポートし、現在、HRコンサルティングサービスや採用業務代行(PRO)サービスを提供する芦川由香さん(株式会社レイン CEO)が「ITエンジニア・DX人材の就活&採用事情」について筆を執る。その第3回は、前回に続き、「ITエンジニア・DX人材の転職の実態に関するアンケート」から見えたこと。(ダイヤモンド社 人材開発編集部)

*芦川由香さんの「HRオンライン」インタビューはこちら→人事部が自社に合ったIT人材を採用し、会社全体のITリテラシーを高める方法

アンケート調査から見えた求職者たちの本音

 転職経験のあるITエンジニア・DX人材のニーズを知るために、551名を対象にアンケート調査(*1)を実施して、求職者が選考体験で何を重視するのかを分析した結果、「面接形式の希望」について、選考過程に対面を入れたい方の割合が7割、ハイブリッド面接の希望者が5割を超えていました。仕事はリモートワーク希望でも、選考過程において「会社のリアルな様子を見たい」「上司や仲間と顔を合わせておきたい」と考えている候補者が多いのです。

*1 株式会社レイン「2024年【第一弾】ITエンジニア・DX人材転職の実態に関するアンケート(2024年11月実施)」

 というわけで、今回は、ITエンジニア・DX人材の面接で、“オンライン”と“対面”をうまく使い分ける方法とそれぞれの面接での見極めと意向上げのポイントについて解説をします。

オンライン面接での見極めと意向上げのポイント

 まずはオンライン面接でのポイントをお伝えします。面接官は会社の顔ですので、良い印象を与えるための工夫をしましょう。オンライン面接は相手に感情が伝わりにくいため、対面よりもリアクションをしっかり取ります。うなずきをしっかりすることで、相手が話しやすい雰囲気をつくりましょう。質問の仕方にも工夫が必要です。対面よりも意図が伝わりにくいので、「なぜ、その質問をしているのか」という背景を伝えることが必要です。そうすることで、候補者は質問の意図を理解し、的確な回答をしやすくなります。例えば、「これまでのプロジェクトで直面した課題をどのように解決しましたか?」という質問をする際に、「私たちのチームでは自走力が重要になりますので、ご自身で積極的に取り組んだ事例を知りたいです」と付け加えることで、候補者は「課題解決能力や主体性をアピールすればいいんだな」と理解しますので、力を発揮しやすくなります。

 オンライン面接での見極めで意識すべきポイントは、オンライン面接では候補者が対策をしやすいということです。自己紹介や経歴、転職理由を画面に用意して読み上げることができるからです。その際は、回答を深掘りしたり、背景説明を求めたりすることで、用意したものではなく、候補者が普段考えていることをヒアリングすることができますので、適切なジャッジをすることができます。