日本の人口が8700万人以下になったとき
外国人は900万人弱、約1割に上昇する見込み

 日本に限らず、主要先進国の移民・外国人労働者に関する政策は、大きな転換点を迎えている。多くの国で自国民の雇用・所得機会の確保、社会保障を優先すべきとの論調は目立つ。

 わが国でも、そうした議論が目立つ。7月の参議院選挙では、「日本人ファースト」を主張した参政党が議席を獲得した。自民党総裁選の討論でも、各候補は「外国人規制の強化」を訴えた。政治家諸氏は国民優先の考えを示すことで自身の支持につなげようとしている。

 現状、国の想定を上回るペースで外国人労働者は増えている。法務省によると2024年末時点の在留外国人数は376万人であり、2023年末比で35万人増加、過去最高を記録した。

 日本人の労働力不足は深刻であり、今後、外国人受け入れの重要性は高まるとみられる。国立社会保障・人口問題研究所の『日本の将来推計人口』によると、2070年の人口は現在より30%ほど減少し、8700万人を下回る。このうち外国人は900万人弱、人口に占める割合は10%ほどになると推計されている。

 そうした変化に対応しようと、政府もようやく新たな制度を導入した。これまでの外国人労働者の受け入れは、1993年開始の技能実習制度に準拠していた。本制度は、原則「転職」を認めていない。これに端を発し、劣悪な労働環境に耐えられなかった外国人労働者の失踪が相次いだ。

 2027年4月1日から、政府は「育成就労」制度を施行する。基本的には3年間働いた後、技能水準が高い別の在留資格(特定技能)に移行できる。転職も認める。ただし現状、政府は、わが国に居住する外国人を増やす移民政策は打ち出していないことにも留意したい。

 欧米では移民への反感が高まっている。「人種のるつぼ」と言われ、移民を受け入れることで経済成長を実現してきた米国では、トランプ政権が移民政策を厳格化した。これにより民間企業の採用や、個人消費にも悪影響が出ている。

 欧州では、移民・難民を受け入れることで人口規模を維持してきたフランス、ドイツ、スウェーデンが、近年は政策を修正している。オーストラリアも、留学生の受け入れ上限を設定し移民を抑制し始めている。