コンサル大解剖Photo:PIXTA

コンサル市場の規模拡大に伴い、コンサルファームの従業員数は増加し続けている。就職市場では「とりコン(とりあえずコンサル業界に就職)」という言葉が一般化し、転職市場でもコンサル人気は非常に高い。では、コンサル業界に身を置く人たちは、ネクストキャリアについてどのような選択をしているのか。長期連載『コンサル大解剖』内の連載「コンサルキャリアの新潮流」の本稿では、プロフェッショナルのキャリア成長を支援する転職プラットフォーム「外資就活ネクスト」における現職コンサルタントの転職実績を基に、ポストコンサルのキャリアトレンドを解説する。(「外資就活ネクスト」事業責任者 武藤洸平)

「外資就活ネクスト」登録者の3割がコンサル
ポストコンサルの転職者数は5年で約4倍に

 転職プラットフォーム「外資就活ネクスト」は約6万人(2025年9月末時点)が登録し、そのうち3割を現職のコンサルタントが占めています。近年、「とりコン」という言葉を聞く機会が増え、「とりあえずコンサル業界に就職」というのは消極的選択な印象もありますが、転職市場におけるコンサルで身に付く素養(ビジネススキル、マインド、ストレス耐性など)の評価は非常に高いと感じています。かつ、そのベースがあるからこそ次の選択肢が広がり、新たな難易度の高い挑戦に繋がっているケースが増えてきています。

 本稿では現役コンサルタントのキャリアパスとして人気の高い、コンサルからコンサルへの同業種間の転職、より難易度の高い金融プロフェッショナル人材への転職、経験を生かし自身で事業を担う事業会社への転職の実態についてひもといていきます。どの選択肢を選ぶにしても自身の志向性や適性、やりがいを把握したうえで戦略的にキャリア構築をする重要性が増しています。本稿では、「外資就活ネクスト」のデータを基に、その3領域の魅力と近年のトレンドを解説します。

 24年版の「日本のコンサルティング市場規模と将来予測」(コダワリ・ビジネス・コンサルティング)によると、国内のコンサル市場規模は23年に2兆円を突破し、年平均13%の成長率で急拡大しています。それに伴いコンサルファームで働く人の数も増加傾向にあります。例えば、アクセンチュアとコンサルビッグ4のグローバルでの総従業員数は、この10年間で1.6~2倍程度になりました。この背景には、企業側の人手不足・経営課題の複雑化などによるコンサルニーズの高まりがあり、コンサル企業側も人員拡充のため採用の間口を広げています。

 コンサル経験者が増えたことで、近年はポストコンサルの転職も目立つようになりました。「外資就活ネクスト」におけるポストコンサルの転職者数は年々増えており、17年からは年平均で約30%ずつ増加。5年前と比べると約4倍の規模に成長しました。

 コンサル業界で働く人の数が増えているのは、各ファームにおける採用活動の活発化によるところも大きいですが、就職・転職市場における根強いコンサル人気も影響しています。「外資就活ドットコム」が25年6月に発表した27年卒就活人気企業ランキングでは、上位10社中8社がコンサルティングファームでした。また、転職市場においてもコンサル業界は人気です。現在は、第二新卒のポテンシャル採用に加えて事業会社などからの未経験者採用を積極的に行うファームが多く、応募者数も増加傾向にあります。

 コンサル人気の背景の一つには、人々のキャリア意識の変化があります。終身雇用の時代が終わりを告げ、近年は自分でキャリアを切り開く力を求める人が増えました。その結果、幅広い汎用スキル(ストレス耐性、ドキュメンテーションスキル、論理的思考)を獲得でき、転職市場での価値向上も期待できるコンサルタントの人気が高まったのです。現職コンサルの方たちに話を聞くと、ハードワークな側面はあるものの、おおむねコンサルでのキャリアに満足している方が多い印象です。

 ここからは、「外資就活ネクスト」の最新の転職者データを基に、ポストコンサルの転職事情を明らかにしていきます。

次ページでは、コンサルからコンサルへの同業種間の転職、より難易度の高い金融プロフェッショナル人材への転職、経験を生かし自身で事業を担う事業会社への転職の3つのポストコンサルのキャリアパスの実態を解説。「外資就活ネクスト」の転職実績などのデータを基に、転職後の年収の増額幅や、ポストコンサルの転職の実態について解説する。また、近年人気が出てきている「第4の道」ともいえるネクストキャリアの存在も明らかにする。