
「サナエノミクス」下の金融政策
次の利上げ「26年1月」は変わらず
大方の事前の予想を裏切る形で、自民党は10月4日、高市早苗・元経済安全保障担当相を新総裁に選出した。
しかし、四半世紀に及ぶ連立パートナーである公明党が連立離脱を表明した。一方、他党との連立協議も方向性が定まらない。こうした中、高市政権の誕生を現時点で確実視することはできない。それでも、今後の経済政策を展望するに当たっては、比較第1党の党首である高市首相の誕生を前提とすることは自然だろう。
高市自民党総裁の下で見込まれる経済政策は、しばしば「サナエノミクス」と総称される。積極財政や金融緩和維持の観点から、「アベノミクス2.0」ととらえられることがある。
しかし、(1)金融緩和よりも積極財政の優先度が高い、(2)「日本列島を強く、豊かに」という政策姿勢に象徴されるように国家の危機管理と経済成長とを近接させている―の2点で、サナエノミクスはアベノミクスと一線を画していると、筆者は考えている。
また、サナエノミクスを構成する「政府が責任を持つ金融政策」は、日銀の独立性との関連から注目される。
植田日銀は、昨年3月以来、進めてきた金融政策正常化、「利上げ路線」の変更を迫られることになるのか。
筆者なりに「政府が責任を持つ金融政策」の論点を掘り下げると、日銀の次の利上げは「26年1月、その後も経済・物価の改善状況に応じて利上げ継続」というメインシナリオは変える必要はないだろう。