5つの価格類型が示す
顧客価値への多様なアプローチ
特にSaaSに代表されるサブスクリプションビジネスでは、この価値基準の考え方がさらに進化し、多様なプラン設計に結実しています。代表的な5つの類型を見てみましょう。
1. 段階的価格(Tiered Pricing)
利用範囲や機能の違いによって複数のパッケージやプランを設定する、最も一般的な方式。利用者の成長や用途に合わせて上位プランへ誘導できる設計。
2. 利用従量課金(Usage-Based Pricing)
電気や水道、タクシーなどと同じく、使用量に応じて料金を支払うモデル。顧客はリスクなくスモールスタートできる一方、利用料が予測しづらいという側面もある。
3. アカウント別課金(Per-User Pricing)
利用者の人数に応じて料金が決まるモデル。基本的には法人やグループ利用向けのプラン。人数増加による割引や、複数ユーザーで利用しやすい機能の提供があるのも特徴。
4. 定額課金(Flat-Rate Pricing)
いくつかのサービスや機能を全て一律の月額料金で提供するシンプルなモデル。新聞の定期購読や携帯電話の定額プランなど、人数や使う機能にかかわらず一定料金で利用できる。
5. 機能別課金(Feature-Based Pricing)
利用する機能ごとに料金を設定するモデル。フィットネスクラブの「プール利用」「ジム利用」「スタジオプログラム受講」などオプション別追加料金など。柔軟な料金設計が可能だが、プラン選択が複雑になりやすい面もある。
目指すべきは、「高い・安い」という単純な次元での競争ではありません。自らの課題を解決してくれる価値を顧客が正しく認識し、「この価値ならこの価格を支払うことに納得できる」と感じる、フェアで透明性の高い関係性を「設計」することなのです。







