「LTV>CAC」が示す
健全なビジネスモデルの方程式
持続可能な「構造」を、より具体的に、そして数学的に捉えるための中核となる経営指標が「LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)」と「CAC(Customer Acquisition Cost:顧客獲得コスト)」です。
LTVは、1人の顧客が取引を開始してから終了するまでの全期間にわたって、自社にどれだけの利益をもたらすかを示す指標です。LTVは顧客の継続率やアップセル率に大きく左右されます。
CACは1人の新規顧客を獲得するために、どれだけのコスト(広告費、営業人件費など)がかかったかを示す指標です。
健全なビジネスモデルの絶対条件は、非常にシンプルです。
LTV > CAC
顧客1人が生涯で支払ってくれる価値が、その顧客を獲得するためのコストを上回っていなければ、事業は早晩立ち行かなくなります。短期的な売り上げを確保するために大幅な値引きを行ったり、過剰な広告宣伝費を投下したりすると、一時的に顧客は増えるかもしれません。しかしその結果、CACがLTVを上回ってしまえば、それは「売れば売るほど赤字になる」危険な状態です。
近年注目されるPLG(プロダクト・レッド・グロース:プロダクト自体が顧客獲得と成長を促進するモデル)は、このCACを劇的に下げることで成長を実現するモデルです。プロダクトそのものが持つ口コミや紹介の仕組みによって、営業担当者に頼らずとも顧客が自然に増えていく。ビジネスチャットの「Slack」やオンラインストレージサービスの「Dropbox」は、その代表例です。







