その上で、さらにその27万人(仮)がどんな形で日本旅行をする予定だったのか、きちんとトレースしてみる必要がある。
「2000元日本ツアー」の衝撃的な実態
というのも、つい最近、Facebook上で香港人が話題にしていた「総額2000元(約4万円)の日本向け中国人団体ツアー料金」を目にしたばかりだからだ。
この5泊6日のグループツアーは、中国系の航空会社で日本入りし、バスで市街地から離れた郊外の小さなホテルに連れていかれる。早々に夕食を終えてホテルに入っても、周囲にはぶらぶら歩きできるようなショッピングモールもない。国内移動は全てバスで、著名観光地はほぼガイドの説明を聞きながらバスで通り過ぎるだけ、バスが止まる先は無料の公園かガイド契約先のお土産屋、食事は全て特約中華料理店……という構成だったという。
筆者もかつて10年ほど前の北京で、500元(当時のレートで約5000円)の日本団体ツアー6泊7日に参加したという人の話を直接聞いたことがある。それは天津から東京(東京のどこなのか、具体的な地名は不明)まで船で移動し、やはり郊外のホテルに夕方に送り込まれ、翌朝朝イチでバスで出発するというツアー。その足で早朝の歌舞伎町や秋葉原をバスに乗ったまま回り、そのまま富士山観光に出かけた……と聞いて、びっくりした。
見せられた「お土産」も、中国のあちこちで見かける安物お土産品に毛が生えたような、よくそんなものを日本で見つけたね、という代物で、中国人団体ツアー客専用の土産屋(経営しているのも中国人)に連れ込まれたのが一目瞭然だった。
つまり、10年以上前の500元が今や2000元になっただけで、中身はそれほど変わっていないのだ。
このようなツアーが実際にどれほど日本経済に貢献するのか。日本が、オーバーツーリズムに頭を痛めていた昨今、ゆっくりと考え直す良いきっかけになるのではないか。







