Photo by Yuito Tanaka
2024年1月、日本航空(JAL)は鳥取三津子氏の社長就任を発表し、初のCA(客室乗務員)出身女性社長として大きな注目を集めた。経営破綻後、一貫して現場出身者を社長に登用してきたJALだが、ここ数年は整備不備や機材の接触事故、飲酒問題などのトラブルが後を絶たない。安全を揺るがす問題が多発する中、トップに求められる資質とは何か。JAL関係者へ取材をすると、事務系復権の兆しも見える。特集『ANA JAL危機 過去最高業績の裏側』の#11では、JALの次なる社長人事を予想した。候補3人の実名を公開する。(ダイヤモンド編集部 田中唯翔)
現場出身者が続くJAL社長人事
次こそ事務系“王政復古”なるか
2024年1月、日本航空(JAL)は、当時専務だった鳥取三津子氏が新社長に就任することを発表した。
「JALが社会の役に立ち、先進的で楽しそうな会社だと思っていただけるよう、力を尽くしてまいりたいと思います」
鳥取氏は就任に当たり、そう抱負を述べた。JALとしては初の客室乗務員出身かつ女性の社長であり、大きな注目を集めた人事だった。
前任の赤坂祐二社長の下で同社はコロナ禍の赤字を乗り越え、23年3月期には黒字転換した。翌年3月期には再上場後最高となる売上高1兆6518億円を達成。鳥取氏の就任は、コロナ禍を経てさらなる成長を目指すJALの“サプライズ人事”として話題を呼んだ。
10年1月の経営破綻以来、JALの社長人事は事務系出身者を外し、現場出身者を重用する傾向が続いた。赤坂氏は整備出身であり、その前任の社長だった植木義晴氏はパイロット出身だ。
しかし、近年は“現場”でトラブルが相次いでいる。23年12月には整備子会社のJALエンジニアリングで不適切な作業が発覚し、国土交通省から業務改善勧告を受けた。24年5月にはJAL機同士の主翼端が接触する事案が発生。さらに25年9月にはパイロットの飲酒トラブルにより厳重注意を受けた。
監督官庁である国交省から「厳重注意」や「業務改善勧告」を立て続けに受けたJALだが、現場出身者が社長に就く流れは、このまま続くのだろうか。
JAL関係者に取材をすると、次期社長の最有力候補は事務系出身者であることが判明。長らく続いた現場重視の人事から、いわば“王政復古”が起こる可能性があるのだ。
次ページでは、JALの次期社長人事を大胆予想し、事務系最右翼とされる人物の実名を明らかにする。







