また、志望順位の高い企業の内定を目指して就活を続け、疲弊するという声も聞く。就活はあくまで社会人としてのスタートを切る準備なので、周りや社会の評価に引きずられ過ぎないようにしたい。

 ちなみに、25年卒の実質就職活動期間は平均8.45カ月と前年より20日ほど長引いており、これも「長期化」と「曖昧化」の影響と思われる(図表4参照)。

「売り手市場だから」とタカをくくる就活生の落とし穴、2027年卒を待ち受ける「3大異変」とは

採用基準が緩くなっている
わけではない

 さらに、売り手有利とはいえ、人気の高い大手企業は相変わらず求人倍率は1倍を大きく下回っており、厳しい競争になっている。

 インディードリクルートパートナーズの調査では、採用予定数を満たせないケースが多い中堅・中小企業も、25年卒と比較した26年卒の採用基準について「厳しくなる」という回答が「緩くなる」を上回った。企業側は必ずしも採用基準を緩めているわけではない。

 26年卒の就活戦線は引き続き売り手有利の構図ではあるが、その実態は従来とは異なる。

 今後、就活に臨む27年卒の学生やその親は、幅広い情報収集と的確な行動を通して自分に合った企業探しの第一歩を踏み出してほしい。

(取材・文/編集者・ライター 古井一匡)