そこに加えて、鈴木大臣がJA全農の期待通りに「減反復活」をしたので、来年産のコメは今年よりも減産される見込みだ。数が減れば価格を下げなくてもいい。しかし、そうなると貧しい庶民がブーブー文句を言い出すので登場したのが「おこめ券」ではないかというワケだ。

 米の価格が高いままでキープされるのでコメ農家もハッピー、そんなコメ農家の中でも特に「兼業農家」によって支えられるJA貯金の108兆円も安泰なのでJA全農もハッピー、そして高いコメを「おこめ券」で安く購入できる国民もハッピー。

 そんな「三方よし」が一応は実現できるので、鈴木大臣からすれば「さすが高市首相が選んだだけのことはある!進次郎よりも優秀じゃん」と称賛されると思っていたかもしれない。

 さて、そこで次に読者のみなさんが不思議なのは、なぜ鈴木大臣のような優秀なエリートが、税金をバラまいて生産調整をしてコメの価格を釣り上げて、その悪影響がでないようにまた税金をバラまく、というマッチポンプ的な農業政策をしてしまうのかということではないか。

「おこめ券」の発想と地続き
日本がお手本にした“ある国”

 本来ならば、石破政権が進めようとしていたように、コメの増産に舵を切り、美味しいコメをたくさん作った専業農家ほど報われるような仕組みに変えていく方が長期的に見ると、日本のコメ農業は守られる。世界を見渡しても、自国の農業は大規模化・集約化で「戦略物資」にしていくのが主流だ。

 

同じく補助金をバラまくにしても「コメをつくるのを控える兼業農家」の生活保障ではなく「コメをどんどん作る農家」を支えるほうが、日本の農業の未来を考えたうえでは「生き金」になるではないか。

 これには自民党がJA全農の既得権益を守ることで、選挙支援やら献金を受けているということもある。実際、12月5日に農林水産省が公開した鈴木大臣の資産の中に、選挙区内にある「JA山形おきたま」からの借入金497万円が記載されていた。ちなみに、鈴木大臣の政治団体「日本再耕会」の収支を見ると、「JA山形おきたま」の代表理事組合長からもちゃんと献金を受けている。