プレリュード「600万円」は高いのか安いのか

 前回に続き、新型プレリュードのLPL(Large Project Leader)、開発チームのリーダーである山上智行さんに話を聞いていこう。

右側がLPLの山上さん。プレリュードの前はシビックe:HEVを担当していたそう右側がLPLの山上さん。プレリュードの前はシビックを担当していたそう Photo by AD Takahashi

フェルディナント・ヤマグチ(以下、F):価格について伺います。新型プレリュードの販売価格は600万円超と、かなりの強気設定です。先程、「企画開始段階でプレリュードの名前は出ていなかった」と伺いましたが、価格はどうでしょう。最初からこのような高価格帯のクルマにするおつもりだったのですか?

本田技研工業 四輪開発本部 完成車開発統括部 LPL室 LPL チーフエンジニア 山上智行さん(以下、山):いえ。企画当初、そういうつもりはありませんでした。ホンダはマスブランドの会社です。手の届かないところにあるようなクルマには決してしたくありません。

「アフォーダブル」という言い方が正しいかどうかは分かりませが、頑張れば手の届くクルマ、頑張れば何とか買える値段のクルマ。これが目標でした。「この値段じゃ買えるわけがないから、もう見るだけで良いや」。こんな言われ方をするクルマには決してしたくありません。しかし自動車を取り巻く環境は激変しています。先に申し上げた電動化への流れもそうですし、“造る側”として何より厳しいのは、止めどもないコストアップです。鉄もアルミもプラスチックも電線も。クルマを構成する材料の全てが高騰しています。加えて人件費も上がっている。本当に止めどなく値上がりしているんです。

 だから数年前の企画開始当時からすると、大変申し訳ないのですが、ある程度の売価を立てさせていただかないと、本当にもうお客様にクルマを提供できなくなってしまう。それくらいの状況なんです、今は。