社内では「このクルマ売れるの?」という声もあった
F:しかしそんな環境の中で、よくこのプレリュードを出すことができましたね。
山:企画から商品化に向けての時間の中では、「本当にこのプレリュードを世に出せるの?」という時もありました。
F:ホントにこのクルマ売れるの?と。
山:社内では本当にそう言われました。正直、儲かるクルマではないわけですよ。
F:600万超で、ですか?大儲けで笑いが止まらないのかと思っていました。
山:儲かるか儲からないかでいうと、儲かりません。台数自体、月販300台を目標としているぐらいですから。もちろん赤字ではありませんが。
F:発表と同時に、目標台数の8倍もの受注が入ったと聞きましたが……。
山:このテのクルマ(注:スポーツモデルやスペシャリティモデルなど)は、ドカンと人気の火が付くのも、その火がフーッと消えていくのも早いんですよ。この勢いをどのように長く続けていくのか。それがとても重要です。
旬は大切、波が重なるタイミングでなければ造れなかったクルマ
山:これはクルマに限った話ではありません。「旬」というのはとても大切で、それを逃してはいけません。景気の波とか、経済の波とか、クルマの流行の波とか、波が重なるタイミングってあるんですよね。そういう意味では、このプレリュードはある意味幸運なところもあると思っています。
F:波が重なるタイミング。それはどのような。
山:電動化の足踏みによるハイブリッド車への再注目。景気回復による株価の高騰。やっぱりこういう高価格商品の買い物は、株などが上がって気持ちが前向きにならないとなかなか決断できないじゃないですか。
F:ごもっともです。よく分かります。私は株価が上がって、気が大きくなって、調子に乗って、バカスカ高額商品を買いましたもの。
AD高橋:買ってましたねぇ。バブルの時のオッサンみたいに(笑)。
山:世の中の雰囲気って、大事ですよ。景気が悪いときにはやっぱり貯金しよう。クルマなんか買っている場合じゃないや、という気持ちになりますからね。600万円もあるのなら、貯金しとこうとか、これから給料が上がりそうだから頑張ってローン組もうとか。そういういろんなことが重ならないと。クルマ全体が高くなっていますからね。プレリュードに限らず。







