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スタートアップの株価は、足元の利益よりも「将来の伸びしろ」に左右されやすい。その期待の強さを端的に映すのがPBR(株価純資産倍率)だ。赤字でも評価される一方、業績や計画との乖離(かいり)が大きければ失望売りも早い。長期連載『スタートアップ最前線』で、時価総額100億円以上、自己資本比率25%以上の新興市場の上場企業をランキング化したところ、PBR10倍超は30社に上った。タイミーやフリーといった知名度の高い企業も名を連ねる。市場評価が高い上位100社を紹介する。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)
東証の要請で注目の「PBR」
タイミー、フリーより評価が高い新興企業は?
東京証券取引所が2023年にPBR(株価純資産倍率)が1倍を下回る企業に対し、資本効率の改善を要請して以来、上場企業はこの指標を強く意識するようになった。PBRは、株価が純資産の何倍まで買われているかを示す指標である。
成熟企業では1倍前後が一般的だが、スタートアップでは「純資産=過去の蓄積」よりも「将来の成長=これから稼ぐ力」が重視され、PBRが2桁に跳ね上がることもある。新興企業にとってのPBRは、将来の期待に対して投資家が何倍の値札を付けているかを測る、いわば「期待値の倍率」なのだ。
ただし、PBRは万能の指標ではない。計算式(株価÷1株当たり純資産)の性質上、純資産が極端に少ない企業では数値が過大に出てしまう欠点がある。このため今回のランキングでは、財務の健全性を考慮し、自己資本比率が25%以上の企業に絞った。
さらに、株式時価総額が100億円未満の企業は対象外とした。これは今年、東証がグロース市場の上場維持基準を見直し、「30年以降、上場から5年で時価総額100億円に達しなければ上場廃止とする」という厳格化の方針を打ち出したことを踏まえたものだ(現行基準は上場10年経過後に40億円以上)。
ダイヤモンド編集部が独自の基準でランキングを作成した結果、スポットワーク(隙間バイト)のタイミー(25位)やクラウド会計のフリー(39位)といった知名度の高いスタートアップ企業がランクインした。
これら有名企業よりも「市場から高い値札」を付けられているのはどこか。次ページから確認していこう。







