それでも買う!狂乱の市場に克つ! マンション 最強の売買&管理術 #3Photo:PIXTA, Nancy Newell/gettyimages

マンション管理の裏の裏まで精通したマンション管理士4人が、管理の実態を語る座談会。特集『それでも買う!狂乱の市場に克つ! マンション 最強の売買&管理術』(全33回)の#3では、管理士座談会の上編をお届けする。公正取引委員会の捜査にマンション管理業界が大きく揺れた、大規模修繕工事の談合問題がテーマ。談合の実態と談合が生まれ今まで続いた本当の理由、そして管理組合側の対応策を赤裸々に語り尽くした。(聞き手/ダイヤモンド編集部 鈴木洋子)

▼座談会参加者
●應田治彦(はるぶー) @haruboo0
 マンション管理士。RJC48代表。都内大規模管理組合の理事16年目。
●大浦智志 @Office_Oura
 税理士&マンション管理士。
●中村優介(黒ひつじ) @fournirnakamura
 自主管理支援のフルニール代表取締役。マンション管理士。
●覆面マンション管理士O
 謎のマンション管理士。4月26日に高円寺Pundit’でのイベントに出演予定。

「大規模修繕工事の後、なぜかヴィトンバッグを
持っているおじいちゃん、中小の管理会社によくいる」

――公正取引委員会がマンション大規模修繕談合の立ち入り検査に入りました。そもそも、マンション大規模修繕工事において談合はどこまでの会社がやっているものなんでしょうか。

大浦 最初に報道された20社に加えて、マンション工事最大手の建装工業に追加で公取委が立ち入りましたね。次に規模の大きいカシワバラ・コーポレーションがうちは一切やっていない、って否定のリリースを出していましたが。

 業界全体にまん延している感はあります。今回捜査対象として名前は挙がっていない某社も、報道された捜査対象の会社全てに対して管理組合への紹介実績があるので「過去の工事も談合だったんじゃないか?」と顧客から突き上げを食らってるらしいです。

 ただ、業界全体の問題がそのまま芋づる式で出てくるかっていうのはどうでしょう。設計コンサルまで捜査が行かなければ、ちょっと厳しいんじゃないかなぁ。

中村 会社レベルでやってなくても担当者レベルでというのはありますからね。大規模修繕の後なぜかルイ・ヴィトンのセカンドバッグ持ってる管理会社のおじいちゃんとか……中小の管理会社を転々としてる工事部のおじいちゃんにありがち。業者側にはブラックリストみたいなのがあって、管理会社のコイツはマージンじゃぶ漬けだからチョロいとか……。会社がその社員に対してグリップを利かせられていないみたいなケースは多分ある。管理会社はもともと吸収合併が多いし、寄せ集めで小さい支店でやっているところまでは管理し切れないんですよね。

 工事会社の方も、本社は談合に関わってなくとも、地方はマーケット支配力が管理会社とか設計事務所の方が強くて、逆らうと仕事が全く取れなくなって支店や営業所が生きていけなくなるので、支店や営業所レベルで勝手に判断して付き合っているっていうような状況があるんじゃないかな。

マンション管理業界では「もうほぼ常識」となっているという談合問題。そもそもここまでまん延しているのには深い理由があった。問題は工事業者だけではなく、業界構造や管理組合側にもありそうだ。その深層について詳細に次ページから管理士たちが語っていく。