「ヒゲ禁止」だが
「鼻ヒゲ」はOK
陸上自衛隊で最近NGとなった服装を明かす前に、まずは身だしなみに関するオモシロ規則を紹介しよう。
それは「ヒゲ禁止」だ。
頬や顎にヒゲがあると、陸上自衛官の標準装備である「防毒マスク」を装着した際に密着しないため、伸ばすことは許されない。これは「暗黙の了解」というレベルの話ではなく、死に直結するため、規則で明確に禁止されている。
しかし実は、この規則には例外がある。
マスクの密着度に影響しないため、部隊長の許可があれば「鼻ヒゲ」をたくわえてよいのだ。
イラク戦争(2003年~2009年)の開戦後、イラクに派遣された自衛隊の先遣隊長を務めた佐藤正久氏(前参議院議員)は、鼻ヒゲをたくわえた姿から「ヒゲの隊長」の愛称で親しまれた。
「ヒゲの隊長」こと佐藤正久氏 Photo:Agencia Makro/Gettyimages拡大画像表示
現地の文化に合わせてヒゲを伸ばしていたというが、その鼻ヒゲは現在も佐藤氏のトレードマークとなっている。
身だしなみに関する興味深いルールとしては、もう一つ「戦闘服で通勤しなければならない」というものがある。自衛官は24時間365日の態勢維持が求められるため、通勤中・退勤中を含め、いかなる時も気を抜くわけにはいかないのだ。
ただし、先ほどの「ヒゲ禁止」と同様、このルールにも例外がある。
東京などの大都市で公共交通機関を使う者は「スーツ通勤OK」なのである。この特殊ルールについて、東京都内の駐屯地で単身赴任中の陸曹長は次のように語る。
「東京勤務で驚いたのは、隊員がスーツで通勤していることです。出勤したら戦闘服に着替えるのに、スーツを着るなんて面倒くさいだろうなと違和感がありました。しかし、考えようによっては、退勤時に買い物したり飲みに行ったりできる利点もありますね」







