最近禁止された
自衛隊独自のファッションとは?
それは「ジャー戦」。戦闘服の上着とジャージのズボンを組み合わせた格好のことである。駐屯地で暮らす若い隊員を中心に、自宅での“スウェット感覚”で愛用されていた。
この組み合わせに慣れ親しんだ陸上自衛官に違和感はないだろうが、第三者の視点では破壊的なファッションセンスだ。もちろん、この格好をするよう誰かに強制されたわけではない。勤務外の日常生活を楽に送りながらも、階級・氏名が一目で分かるという利便性から、自然発生的に生まれたようだ。
しかし、この「ジャー戦」は、陸自の即応態勢(緊急時や有事に備え、常に十分な態勢を整えておくこと)の向上と歩調を合わせるように禁止されるようになった。
先ほどの陸曹長は、次のように不満をこぼす。
「『ジャー戦』禁止は痛いですね。以前から禁止の駐屯地もありましたが、今年4月から全国的に禁止になりました。その後の勤務外の服装は、『ジャー戦』に代わって戦闘服上下とスニーカーが日常着になりました」
「慣れの問題なのでしょうが、『ジャー戦』で外出するわけじゃないので、禁止するほどのことかなと、正直疑問に思いますね」
いかがだっただろうか。このように陸上自衛隊のルールを見ていくと、一見すると突飛でも、よく考えると理にかなったものが多い。
陸曹長が嘆いた「ジャー戦禁止」も「即応態勢の強化」という観点では理屈が通っており、一般社会における“ブラック校則・社則”のように必ずしも理不尽ではないと言える。
では、海上自衛隊・航空自衛隊はどうだろうか。陸上自衛隊の「ヒゲ禁止」「ジャー戦禁止」に匹敵する興味深いルールはあるのか。後編で詳しくお伝えする。







