キヤノンMJの総還元性向が異次元の「259%超」に!親会社への“1800億円貸付”を解消し、高配当を維持しつつ巨額の自社株買いを実現した全内幕Photo by Misaki Uno

キヤノン子会社で同社製品の国内販売などを手掛けるキヤノンマーケティングジャパンの総還元性向が259%超と異次元の数字をたたき出している。その背景には、株式保有比率の適正化に向けた奔走があった。連載『クローズアップ商社』の本稿では、経営の効率化と株主への高配当を共に実現させた理由について、大里剛経理本部長が明かす。(聞き手/ダイヤモンド編集部 猪股修平)

異次元の還元を実現した「三つの仕掛け」
自己株TOBと配当政策の変更が鍵を握る

――弊誌の「総合商社vs専門商社vs卸『経営力』ランキング」で、総合3位という結果になりました。名だたる企業がある中で上位に入ったことについて、率直な受け止めを教えてください。

 非常に光栄に感じています。特に今回、総還元性向が259%超と突出して高くなりましたが、それに関しては私自身も「会社の企業価値を高めたい」という思いから、戦略的にいくつかの施策を仕掛けました。その結果が数字に表れたものと考えています。

――その「仕掛け」とは、具体的にどのような内容でしょうか。

 総還元性向が高まった理由は、大きく分けて三つあります。一つ目は、親会社(キヤノン)が保有している当社株式を、TOB(株式公開買い付け)で取得したこと。

 二つ目は、政策保有株式の縮減を加速させたことです。解消を進める中で、キヤノンが保有している当社株式についても市場売却ではなく、当社の資本効率向上のために自社で買い取りをさせてほしいと積極的に働きかけました。これによって2000万株を消却しています。

 また、当社の株式を政策保有株式として持つ数社から、自己株式の取得を実施しました。

 三つ目は、配当政策の変更です。従来は「配当性向30%」をベースとしてきましたが、2023年から「40%以上」に引き上げることにコミットしました。これらを着実に実行してきたことが要因です。

総還元性向や自己資本利益率(ROE)を高めるため、大里氏はどのようにメスを入れたのか。次ページではその戦略や、新中計以降の投資の考え方について具体的に明かしていく。