東京商工リサーチによると、2024年に上場企業やその子会社で公表された個人情報漏えい・紛失事故は189件に達し、前年から約8.0%増加しました。これは調査開始以来4年連続で最多件数の更新です。

 また、帝国データバンクによると、2024年度の企業内不祥事などのコンプライアンス違反(法令や企業倫理からの逸脱)による倒産は379件で、4年連続で前年度を上回り過去最多となりました。

グラフ出典:各社調査資料を元に作成
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 これらの数字が示すのは、サイバー攻撃や社内の不祥事がもはや例外的な出来事ではなく、“いつ起きてもおかしくない”経営リスクになっているという現実です。

 そして今、企業価値を分けているのは、問題の発覚直後にどのような判断と行動を取ったかということ。被害の大きさ以上に、初動対応の質が、その後の信頼と評価を決定づける時代になっています。

「起きてしまった時」何が企業を守るのか
ジャパネットたかたに学ぶ3つの合理性

 では、危機が現実に起きた瞬間、企業はどのような判断を下せばよいのでしょうか。

 不祥事を「起きる前提」で捉えたとき、その問いに対する一つの明確な答えを示したのが、2004年のジャパネットたかたでした。

 同年、ジャパネットたかたでは、元社員による約51万人分の顧客情報持ち出しが発覚。これに対して、同社は自社の生命線ともいえる、全てのテレビ・ラジオショッピング番組を48日間自粛しました。売り上げに換算すれば約150億円が消えるという、異例の決断です。

 実はこの対応は、感情的な謝罪に留まらない、経営的に極めて合理的な「価値の守り方」だったのです。

 では、その合理性とは何だったのでしょうか。