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防衛費拡大や航空エンジン整備需要の高まりが、重工大手の業績を押し上げている。三菱重工業は防衛とガスタービンが伸び、川崎重工業も航空宇宙とエネルギーが堅調だ。IHIも航空・防衛への集中投資と整備能力増強を進める。その一方で、建機大手のコマツはアジアでの販売不振が重荷となっている。こうした4社の中で世代間の「年収格差」はどうなっているのか。特集『5世代格差の残酷!主要100社26年版「20年間年収推移」氷河期、バブル…どの世代が損をした?』(全39回)の#27では、過去20年間の推移を10年刻みにして、5世代別の平均年収と主要100社内ランクを独自に試算した。その結果、三菱重工とIHIは若手の社員が勝ち組、コマツはOB世代が優位、川重は若手とOB世代が並んだ。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)
防衛・航空・建機で明暗分かれる4社
成長の軸はそれぞれ異なる
三菱重工業、コマツ、川崎重工業、IHIの4社は、同じ重工・建機大手に見えても、実際には「何で稼ぎ、どこを伸ばし、どこを立て直し、次の柱を何にするか」が異なっている。まず三菱重工は、2025年4~12月期の売上収益が前年同期比9.2%増の3兆3269億円、純利益が17.4%増の2109億円と増収増益を確保した。防衛・宇宙や民間機の出荷増が効いた上、発電用ガスタービンの需要拡大も強い。通期の純利益見通しも2600億円へ上方修正し、受注高予想も6兆7000億円に引き上げた。
対照的なのがコマツだ。同期間の売上高は2兆9154億円で1.4%減、純利益は13.0%減の2698億円で5年ぶりの減益となった。インドネシアを中心としたアジアの建機販売低迷が重く、中南米や欧州の堅調では補い切れなかった。
一方、川重は25年4~12月期の売上収益が1兆5614億円、純利益が658億円と増収増益を確保した。事業別では航空宇宙システムやエネルギーソリューション&マリンが伸び、米国で競争激化が続くパワースポーツ&エンジンの不振をカバーしている。通期純利益見通しは900億円へ引き上げ、増配と株式の5分割も打ち出した。
IHIは、同期間の売上収益が1兆1293億円と微減だったが、純利益は850億円と10.7%の増益を確保した。前年の大型案件の反動や交通システムの事業譲渡で全体の売り上げは伸び悩んだものの、防衛や民間航空エンジンは好調だ。同社は、航空・宇宙・防衛への集中投資を強める局面にある。
もっとも、足元の業績が良いからといって、社員の処遇が世代横並びで改善するとは限らない。むしろ「どの局面で会社にいたか」「どの賃金カーブ・評価制度に乗ったか」によって、同じ会社の中でも「得をした世代」と「割を食った世代」が生まれる。
今回は三菱重工、コマツ、川重、IHIを取り上げる。4社の中で、年齢別に長期で年収を比べた場合、団塊・バブル期・就職氷河期・ゆとり世代のうち、どの世代が恵まれていたのか。ダイヤモンド編集部は、過去20年間を10年刻みにして、「5世代の年収」と「主要100社内ランク」の推移を独自に試算した。
対象としたのは、2000年代から現在までの、20~50代の現役世代から、60~70代のOB世代まで。「それぞれの世代はこの20年で給料を幾らもらっていたのか」「その会社の中ではどの世代が得をしたのか」「日本の主要企業100社の中で、年収序列は高かったのか」。これらを徹底検証し、47項目のデータとして残酷なまでの格差をあぶり出した。
試算の結果、三菱重工とIHIは若手の社員が勝ち組となった。一方、コマツはOB世代が最上位で、川重は若手とOB世代が並んだ。次ページでその詳細を確認しよう。







