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今年10月、ビールは減税される一方、発泡酒や第三のビールが増税され税額が一本化される。この酒税改正を控え、ビール大手は主力ブランドの強化と事業ポートフォリオの再編を急いでいる。アサヒグループホールディングスがサイバー攻撃の影響を引きずる一方、キリンホールディングスはヘルスサイエンスを新たな柱に育成。サッポロホールディングスは巨額の不動産売却で酒類への集中を鮮明にした。3社の中で、世代間の「年収格差」はどうなっているのか。特集『5世代格差の残酷!主要100社26年版「20年間年収推移」氷河期、バブル…どの世代が損をした?』(全39回)の#23では、過去20年間の推移を10年刻みにして、5世代別の平均年収と主要100社内ランクを独自に試算した。その結果、アサヒとサッポロは若手が勝ち組となった一方、キリンはシニア世代も優勢となった。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)
酒税改正前に布石を打つビール3社
成長の軸はそれぞれ違う
ビール大手3社は、今年10月にビール、発泡酒、第三のビールの酒税が一本化される改正をにらんでいるが、足元の経営課題や成長戦略はそれぞれ異なっている。
アサヒグループホールディングスは主力ブランドの「スーパードライ」に加え、RTD(缶酎ハイや缶カクテルなどふたを開けてそのまま飲める酒類)やノンアルコール飲料を含むビール隣接カテゴリーの強化を進めているが、2025年1~9月期はランサムウエアによるサイバー攻撃に伴うシステム障害が響き、純利益は前年同期比26.2%減となった。決算発表自体も26年3月上旬と大幅に遅れ、影響の大きさを印象付けた。
キリンホールディングスは景色が違う。25年12月期の純利益は1475億円と前期の2.5倍に膨らみ、サプリメントなどを販売するヘルスサイエンス事業も黒字転換した。M&Aで豪健康食品大手ブラックモアズやファンケルを取り込み、酒類依存からの脱皮を急ぐ一方、酒類でも「一番搾り」「晴れ風」「グッドエール」を軸に酒税改正への備えを進める。さらに米バーボン・ウイスキー事業「フォアローゼズ」の売却を決めるなど、事業ポートフォリオの選別も鮮明にしている。
サッポロホールディングスも、抜本的な事業の組み替えに踏み込んでいる。25年12月期は酒類の値上げ効果や構造改革で増益となった。26年は米投資ファンドKKR陣営への不動産事業の売却に伴い約3300億円の利益を計上し、酒類中心の会社へと原点回帰を強める見通しだ。恵比寿ガーデンプレイスなどの売却で得る資金は、M&Aを含めて酒類の強化や低アルコール・ノンアルコール領域への投資に回す方針で、収益構造そのものを組み替える局面にある。
これら大手3社は、同じビール会社に見えても、実際には「何を伸ばし、どこを捨て、次の柱を何にするか」が異なっている。もっとも、足元の業績が良いからといって、社員の処遇が世代横並びで改善するとは限らない。むしろ「どの局面で会社にいたか」「どの賃金カーブ・評価制度に乗ったか」によって、同じ会社の中でも「得をした世代」と「割を食った世代」が生まれる。
今回はアサヒ、キリン、サッポロを取り上げる。3社の中で、年齢別に長期で年収を比べた場合、団塊・バブル期・就職氷河期・ゆとり世代のうち、どの世代が恵まれていたのか。ダイヤモンド編集部は、過去20年間を10年刻みにして、「5世代の年収」と「主要100社内ランク」の推移を独自に試算した。
対象としたのは、2000年代から現在までの、20~50代の現役世代から、60~70代のOB世代まで。「それぞれの世代はこの20年で給料を幾らもらっていたのか」「その会社の中ではどの世代が得をしたのか」「日本の主要企業100社の中で、年収序列は高かったのか」。これらを徹底検証し、47項目のデータとして残酷なまでの格差をあぶり出した。
試算の結果、アサヒとサッポロは若手世代が勝ち組となった。一方、キリンは若手とOB世代が並んで優勢という、他の2社とは違った構図になった。次ページでその詳細を確認しよう。







