Photo:123RF
食品業界では値上げの浸透で収益改善が進む一方、各社の成長の軸は大きく異なる。JTは紙巻きたばこの値上げ効果で最高益の更新が続き、味の素は半導体向け電子材料が業績を押し上げる。明治ホールディングスは食品が底堅い一方で中国事業が重荷となり、日清食品ホールディングスは国内販売が伸びても原材料高と米州の苦戦が足を引っ張っている。では、こうした4社の中で世代間の「年収格差」はどうなっているのか。特集『5世代格差の残酷!主要100社26年版「20年間年収推移」氷河期、バブル…どの世代が損をした?』(全39回)の#24では、過去20年間の推移を10年刻みにして、5世代別の平均年収と主要100社内ランクを独自に試算した。その結果、JT、明治、日清食品は若手世代が勝ち組となる一方、味の素だけはOB世代が優位だった。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)
値上げ浸透でも成長の柱はばらばら
食品・たばこ4社の稼ぎ方は大きく違う
食品業界では、原材料高や物流費上昇への対応として進めてきた値上げがようやく浸透し、利益改善に向かう企業が増えている。今回は、たばこのJTを加え、味の素、明治ホールディングス(HD)、日清食品ホールディングス(HD)の4社を取り上げる。同じ大手企業でも、どこで稼ぎ、どこが足を引っ張っているかはかなり違う。
まずJTは別格の収益力を見せている。2025年12月期の純利益は5101億円まで膨らみ、26年12月期も5700億円を見込む。紙巻きたばこの値上げ効果が収益を押し上げ、年間配当予想も前期比8円増の242円と増配基調だ。医薬事業を切り離し、今後は紙巻きと加熱式たばこを軸に成長を図る構図がより鮮明になっている。
味の素の業績も好調だ。25年4~12月期の純利益は前年同期比8.9%増の897億円となり、通期の予想も1300億円へ上方修正した。稼ぎ頭は食品だけではない。電子材料を含む「ヘルスケア等」の事業利益が伸び、全社収益を押し上げている。一方で冷凍食品は北米の苦戦が重荷となっており、食品関連事業の中でも好不調の濃淡がはっきりと出ている。
明治HDは、食品事業そのものは底堅い。25年4~12月期の食品セグメントの営業利益は536億円と前年同期を上回り、デイリー・カカオ・フードソリューション事業が増益を支えた。だが、3月下旬に中国子会社で固定資産の減損損失を計上すると発表し、通期の純利益見通しを365億円へ引き下げた。中国事業の立て直しが大きな課題になっている。
日清食品HDも、国内販売は伸びている。25年4~12月期の売上収益は5865億円と微増だったが、純利益は10.4%減となった。原材料価格や物流費の上昇が重く、とりわけ米州地域のコア営業利益が大きく落ち込んだ。
この4社は、同じ食品・たばこを含む消費関連の大手企業に見えても、実際には「何を伸ばし、どこを立て直し、次の柱を何にするか」がまるで違う。もっとも、足元の業績が良いからといって、社員の処遇が世代横並びで改善するとは限らない。むしろ「どの局面で会社にいたか」「どの賃金カーブ・評価制度に乗ったか」によって、同じ会社の中でも「得をした世代」と「割を食った世代」が生まれる。
今回はJT、味の素、明治HD、日清食品HDを取り上げる。4社の中で、年齢別に長期で年収を比べた場合、団塊・バブル期・就職氷河期・ゆとり世代のうち、どの世代が恵まれていたのか。ダイヤモンド編集部は、過去20年間を10年刻みにして、「5世代の年収」と「主要100社内ランク」の推移を独自に試算した。
対象としたのは、2000年代から現在までの、20~50代の現役世代から、60~70代のOB世代まで。「それぞれの世代はこの20年で給料を幾らもらっていたのか」「その会社の中ではどの世代が得をしたのか」「日本の主要企業100社の中で、年収序列は高かったのか」。これらを徹底検証し、47項目のデータとして残酷なまでの格差をあぶり出した。
試算の結果、JT、明治HD、日清食品HDは若手の社員が勝ち組となった。一方、味の素だけはOB世代が最上位で、4社の構図はきれいに分かれた。次ページでその詳細を確認しよう。







