トランプ関税リスクは「織り込み済み」、米著名投資家の2026年日本株見通しが揺るがない理由Photo:PIXTA

2025年の株式市場は、世界経済の「脱グローバル化」が進むという悲観論を裏切り力強く推移した。しかし、2026年を迎えてもなお、輸出依存度の高い日本を中心に、関税リスクを懸念する声は後を絶たない。トランプ政権による関税の合法性を巡る米連邦最高裁判所の判決を受けて、ヘッドラインには不安を煽る言葉が並ぶ。だが、米著名投資家ケン・フィッシャー氏は、関税がもはや相場を揺るがす「サプライズ」としての力を失っていると断じる。なぜ関税は「過去のニュース」に過ぎないのか。現実が恐怖をいかに凌駕してきたか、その論理的な背景を解き明かす。

関税の嵐の中でも
株価が上昇した理由

 関税は常に悪手である。とりわけ関税を課す当事国にとっての弊害は大きく、2025年の米国株の出遅れがそれを証明している。トランプ大統領が昨年4月2日に、日本への24%の関税を含む「相互関税」を打ち出した際、その範囲と規模、そして異例の内容は市場の予想を遥かに超えていた。これは深刻な下方サプライズとなり、世界貿易の停滞と対米報復という最悪のシナリオを織り込む形で、株価は一時的に動揺した。

 しかし、こうした懸念は行き過ぎだった。私は当時も指摘したが、現実が予想ほど悪化しないことを示すいくつかの緩和要因が存在していた。

 第一に、米国の税関・国境警備局(CBP)は、これほど広範な関税を徴収するための人員も設備も圧倒的に不足していた。第二に、法廷闘争は必至であり、米最高裁で争われていたように、関税が無効化される可能性が当時からすでにあった。第三に、トランプ氏は「ディール(取引)」を好む人物であり、関税を交渉の道具として使っているに過ぎなかった。そして第四に、米国以外の国々は関税で報復する代わりに、互いに独自の貿易協定を結ぶことで、世界的に自由貿易をさらに促進するという対抗策を見出した。