銀行・信金・信組 最後の審判 #6Photo:123RF

金利が上がれば、銀行の収益は増える――。だが地方銀行からは「金利が上がっても、向こう5年はむしろつらい」とのぼやきが漏れ聞こえる。ダイヤモンド編集部の独自アンケートからは、仕組み債問題にとどまらず、地銀が抱えるさまざまな苦悩が浮かび上がった。特集『銀行・信金・信組 最後の審判』(全16回)の#6では、その結果を明らかにし、中でも先行き懸念の一大要因となっている「日本国債の金利上昇リスク」を試算してランキングを作成した。(ダイヤモンド編集部 新井美江子)

仕組み債問題だけではない!
金融庁vs銀行の攻防戦が勃発

 仕組み債の販売に関し、行政処分が下るんじゃないか――。昨春のことである。銀行幹部の間でそんな臆測が広がり、一部の地方銀行にアラームが響き渡った。

 きっかけは、金融庁がある大手地銀とメガバンクに対して行ったモニタリングだ。そこで仕組み債の販売現場の実態が暴かれ、大問題になっているとの情報が駆け巡ったのだ。

 仕組み債といえば、昨年8月末に金融庁が「2022事務年度金融行政方針」で、「顧客本位の業務運営」ができていない恐れのある代表格として提示した“悪名高い”金融商品だ。銀行が受け取る手数料は高いものの、顧客へのリスクが大き過ぎる商品として問題視された。

 金融庁が販売体制について広くモニタリングを行うと宣言したことから、各行は一斉に販売を自粛した。だが、一部の銀行はその行政方針が出る数カ月前に、仕組み債に対して吹き始めた逆風を感じ取っていたというわけだ。

 この一件を機に、特に地銀は苦難の1年を迎えることになる。

 次ページでは、仕組み債を巡る銀行と金融庁の攻防戦と、金融庁が「モニタリング宣言」通り地銀に行っているモニタリングの内容を詳らかにする。

 ダイヤモンド編集部のアンケート調査によると、仕組み債への逆風が顕著になる前の昨年末時点で、グループ外の証券会社への仲介を含め仕組み債の販売を全く行っていなかった地銀は、回答があった88行の3割弱しかない。大部分の地銀が、リテール(個人向け)ビジネスの戦略転換を問われている状態だ。

 さらに、地銀を取り巻く問題は仕組み債販売だけにとどまらない。地銀がここにきて懸念を深めているのが、日本銀行の政策変更による「日本国債の金利上昇リスク」だ。そこでダイヤモンド編集部では、その地銀経営の健全性に対する影響度合いについて試算。次ページでは、「地銀耐久力ワーストランキング」の結果についても明らかにする。