インドネシア経済に迫る「格下げ」と資金流出リスク、5%成長継続も財政拡張と中銀独立性懸念で揺らぐ評価Photo:PIXTA

プラボウォ政権の拡張財政と中央銀行人事を契機とする独立性への懸念が、市場の「政策予見性」への不安を増幅させた。MSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インデックス)も情報開示・市場アクセス面の課題を指摘する。米格付け大手ムーディーズも2月5日に格付け見通しをネガティブへ変更した。インドネシアからの資金流出リスクが高まっている。(第一生命経済研究所 主席エコノミスト 西濱 徹)

財政赤字対GDP比3%接近と
中銀人事が映す政策の不確実性

 このところの金融市場では、インドネシアに対する評価が大きく揺らいでいる。発端となったのは、プラボウォ政権によるバラまき志向の強い財政運営に対する警戒感である。

 2025年の財政赤字が695.1兆ルピア、対GDP(国内総生産)比2.92%と法定上限である同3%に近づき、コロナ禍対応に追われた20年と21年を除けば、約20年ぶりの高水準となるなど、財政状況は急速に悪化している。

 さらに、1月には中央銀行副総裁であったジュダ・アグン氏が任期を1年余り残して突如辞任した。直後に政府が国会に提出した後任候補に、プラボウォ大統領のおいで財務副大臣を務めるトマス・ジワンドノ氏が含まれ、中銀の独立性に対する懸念が高まった。

 その後、国会はトマス氏を中銀副総裁に指名する人事案を承認し、トマス氏が副総裁に就任した。同氏はプラボウォ大統領が率いる最大与党グリンドラ党の財務担当を務めており、財政、金融政策への政権、並びに同党の関与が高まる懸念もある。

 次ページでは、こうした懸念が市場や資金流入に与える影響について検証していく。