【3】数字が「具体性」を生む

 トランプ氏は自身がより強調したい主張を、必ず数字で裏付けています。例えば下記の一文。

The flow of deadly fentanyl across our border is down by a record 56 percent, in one year.
《国境を越えて命を奪うフェンタニル※の流入量が、1年間で56%も減少した。》※薬物

 具体的な数字を使ってウソではない、真実だという印象を与えます。ビジネスのプレゼンで「売上が大幅に伸びました」より「売上が前年比43%増加しました」の方が、説得力があるのと同じです。

 日本人が英語で話すとき、manyやa lotといった曖昧な表現で済ませがちですが、特にビジネスのプレゼンでは数字をメモ書きして準備したいですね。

【4】短文が「テンポ」を作る

 演説全体を通じて言えることですが、一文が驚くほど短いです。主語+動詞+目的語という基本構造が繰り返されます。例えば下記の一文。

We ended D.E.I. in America.
《私たちはアメリカでD.E.I.(多様性・公平性・包括性の施策)を終わらせた。》

 英語学習者が陥りやすい罠のひとつが「長い文を書けば賢く見える」という思い込みです。しかし実際の英語コミュニケーションでは、短く明快な文の方が伝わります。特にプレゼンやスピーチでは、短文のリズムが理解の速度を上げます。

【5】問いかけが「参加感」を生む

 実はトランプ氏は一方的に話すのではなく、聴衆に問いかける手法を多用しています。

Think of it. How much money is that for somebody that started with nothing?
《考えてみてください。ゼロから始めた人間にとって、それがどれほどの金額か?》

 厳密には疑問文ではなく修辞的問いかけ(rhetorical question)ですが、問いかけることで聴衆に「自分で考えた」という感覚を与える効果があります。一方的に話すのではなく、相手を思考に巻き込むのはコミュニケーションの本質です。

 英語でのディスカッションやプレゼンでも、What do you think?やHave you ever wondered why...?といった問いかけを挟むだけで、相手の関与度は劇的に高まります。日本人の英語は一方通行になりがちですが、これを意識するだけで印象は大きく変わります。