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「3DプリンタよりもCNCルータがクール」
――米Make誌編集長が描くメイカームーブメントの将来像

大原雄介
【第90回】 2013年7月10日
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――グーグルの有名な「20%ルール」みたいな?

MF そう、まさにあれです。

――次に少し経済的な話を。メイカーフェアやメイカームーブメントは世界経済の停滞や景気回復にどのような意味があるでしょうか?

MF 正直なところ、メイカームーブメントが経済状況に与える影響というのは非常に限定的だと思っています。メイカーのコミュニティは、人々がもっとお互いにコミュニケーションする時間を取ることで、アイデアや解決法を思いつくための場だと思っています。その後で、人々は自宅やオフィスに戻って、そのアイデアを実現することになるわけです。

 例えばある人が自宅でビジネスを始めることを思いついたとしましょう。その人はメイカーになるわけですが、コミュニティを通してお互いが繋がりあうためのもっと良い方法が見つかったら、ビジネスはもっと大きなスケールになるかもしれません。逆に言えば、メイカームーブメントは、お金を掛ける必要がないものと言えます。

――ただ、例えば3Dプリンターのマーケットは急速に伸びていますし、ArduinoとかRaspberry Piといった機器のマーケットも急速に広がっています。これは、経済的な影響力といえるのではないですか?

MF 確かにそうした成功例はあります。例えば、メイカーのための新しいツール類が出てきています。ずっと洗練された無線機器(例えばDigi InternationalのXBeeなど)などですね。メイカームーブメントが成長したことで、企業にとってメイカーが有力なマーケットになってきたのは事実です。

 とはいえ、そうした経済的な成功は、メイカームーブメントの主要な目標ではありません。コミュニティが盛り上がる副産物として、経済も盛り上がる可能性はあると思います。

――3Dプリンタの次は何が来ると思われますか?

MF 個人的には、3Dプリンタはデスクトップ・マニファクチャリングにとって重要な要素です。ただ他にも幾つ か、デスクトップ・マニファクチャリングには重要な要素があります。その一つがCNC(コンピュータ数値制御)マシンでしょう。これがもっとポータブルに なるといいな、と思っています。もちろんCNCは既に様々なショップにありますが、もっと低コストなCNCルータはとてもクールだと思います。Handibotはたったの2500ドルで手に入ります。これは本当に驚くべきツールで、いろんなものを作ることができるし、タブレット端末などから操作することもできます。そういったCNC関連製品が増えることは本当にすばらしい。

 別の方向では、家庭向けの3Dプリンタですね。ただ問題は、3Dプリンタは既に様々な特許に縛られてることです。このあたりはCNCの方がもっと洗練されています。

――なるほど。ところでMake誌やオンラインのmakezine.comはメイカーによく読まれているわけですが、どの程度のレベルで成功したと御自分では考えておられます?

MF 予想を超えたレベル、ですね。当初の計画では、最初の1年で1万人の購読者を獲得する予定でしたが、実際は4万人でした。こうした盛り上がりの推移をどうやって把握してゆくか、というのが今後の我々に取っての挑戦の一つとなるでしょう。

 私の仕事は、コミュニティの上から、物事がどうなってゆくかを明らかにするとともに、メイカーたちに情報を配信することで成功に繋がるようなサービスをしてゆくことだと思っています。

――他の団体とコラボレーションする可能性はありますか?

MF メイカームーブメントの拡大に伴って、「どうやって物事を始め、どうやってそれを運営してゆくか」のノウ ハウが貯まってきました。もちろん我々も、まだ極めた訳ではなく、ステージの途中にいる訳ですが、これまでに集めた知識を世界中に広めてゆきたいと思って います。ただ今はまだそれが実現できたというにはあまりに早い段階です。

 例えばメイカームーブメントでアフリカ大陸をオンラインにしたいと思いますが、それには現地の政府やNGOなど様々な組織、それに関係する人々とともに、やるべき作業がまだまだ一杯残っています。あくまでメイカームーブメントは、そうした動きの一部だと思っています。

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