全世界で11億人を超えるユーザーを抱えるFacebook。ネットで匿名文化が根付いていた日本では受け入れられないと言われていたサービスが、いまやスタンダードとなりつつあるのはなぜか。Facebook Japan ビジネス デベロップメント責任者の森岡氏に、Facebookの社風や働き方を伺いながら、Facebook飛躍のカギを紐解く。

Facebookは、日本企業より日本的?

もりおか・こういち
2002年、ヤフージャパン株式会社入社。コンテンツプロデューサーとして主に求人、ヘルスケアを担当。2004年にヤフージャパン社とリクルート社のジョイントベンチャーである株式会社Indivalの設立、サービス立ち上げに参画。2008年ヤフージャパンのオープン戦略を主導するPS本部を立ち上げ企画部長として全社戦略の一角を担う。2010年7月Facebook社に入社し、ビジネス開発責任者として日本市場でのFacebookの成長を進めている。

南 森岡さんは現在、Facebook日本支社のビジネス デベロップメント責任者を務められていますが、Facebookに入社されたきっかけを教えてください。

森岡 きっかけは単純に声をかけていただいたことです。実は声をかけていただく前に、2010年、前職のYahoo!にいたときに、ちょうど海外の市場について研究していて、海外と日本ではインターネットの考え方が圧倒的に違うということを学んでいました。Facebookの圧倒的な強さが分かり、Facebookのようになりたいと思っていたときに声をかけられたので、二つ返事でそのオファーを受けました。まだFacebookの日本ユーザーは100万人を下回るくらいの頃でしたね。

南 タイミングが良かったんですね。日本企業から外資系企業に転職すると、働き方などのギャップが多少なりともあると思うのですが、そのあたりはいかがでしたか?

森岡 それはとても感じました。こんなにも英語を使うとは想像もしていなかったですし(笑)、プロセスも違うし文化も違うから、最初の数ヵ月間は圧倒されっぱなしでしたね。

南 英語と言えば、森岡さんはFacebook史上初の英語を話せない社員だったんですよね?その話を聞いて、Facebookって本質的な会社だなって思ったのを覚えています。これまで経験してきたことや仕事の進め方、踏んできた場数を評価してくれて、英語力は二の次だったということですから。

森岡 たしかに、Facebookの懐の深さや本質的な会社であることは入社してから実感しました。小さなユニットで大きなことをしようというスタイルなので、能力だけでなく、ホスピタリティやマインドも重視していますね。