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長期化するスルガ銀行による投資用アパート・マンション向けの不正融資に関わる問題(アパマン問題)が、新たな局面に入った。同行は3月18日、裁判所が示した最終調停勧告の結果を公表。調停対象である600物件のオーナー350人全員が、調停勧告の枠組みに応じる姿勢を示した。ただ、今後の交渉で示談が不成立になる可能性も残されており、依然として予断を許さない状況だ。2022年2月の民事調停の申し立てから4年。なぜ問題はここまで長期化したのか。長期連載『金融インサイド』の本稿では、その経緯をひもとくとともに、オーナーたちを待ち受ける今後の展開を予測する。(ダイヤモンド編集部 高野 豪)
最終勧告に全オーナー同意も
解決金支払いの有無で明暗
スルガ銀行によるシェアハウス以外の投資用不動産向け融資に関する問題(アパマン問題)が、大きな節目を迎えた。東京地方裁判所が示した最終的な調停勧告に対し、調停の対象となる600物件350人のオーナー全員が3月17日までに応じる姿勢を示したのだ。
この600物件は、同行が「組織的交渉先」と区分する物件のうちの大半を占める。具体的には、オーナーの被害救済のために結成された「スルガ銀行不正融資被害弁護団(SI被害弁護団)」が、同行に違法行為があり、不法行為が成立すると主張する物件を指す。
調停委員会の判断はこうだ。同行の公表資料によると、604物件(調停勧告後に調停取り下げとなった4物件を含む)のうち、194物件に対しては解決金を支払い、貸付金との相殺などにより紛争解決するよう命じた。解決金は1物件あたり平均6232万円、総額121億円にのぼる。
この194物件は、調停委員会が広く網をかけて調べた結果として、同行による「不法行為が成立する余地がないわけではない」と判断したものだ。ただし、仮に訴訟となった場合、不法行為を認定するには、「事実上及び法律上のハードルが大きい」とも指摘されている。
同行はこの司法の判断を全面的に受け入れ、解決金の支払いを決定した。
一方、残りの7割弱を占める410物件は、解決金の支払い対象外となった。つまり、同行による「不法行為の成立する余地がない」と認定された案件といえる。
ただ、東京地裁の調停委員会は、同行側に対して、不法行為の成立する余地がないことを前提に、債務弁済協定などによる紛争解決に取り組むよう言及した。この指摘を踏まえ、同行は410物件についても、必要資料の提出を前提に、金利引き下げなどの個別解決支援策を適用する方針を打ち出している。
ここでスルガ銀行が3月18日に公表した調停結果の詳細に触れておこう。
解決金が支払われる193物件(調停勧告後にオーナーの意向で取り下げた1物件を除く)は、全オーナーが調停勧告の枠組みに応じた。解決金の支払い対象外となった407物件(同3物件を除く)では、うち118物件で示談が成立。残りの289物件は、提出した必要書類を基に返済プランを策定し、個別相談に応じている最中だ。
東京地裁は3月に全対象物件のオーナーが調停勧告に応じたことを受け、民事調停の終了を宣言。今後は調停外での個別交渉を通じて示談成立を目指すことになる。
一見すると、解決間近との印象を受けるが、実はそうではない。むしろ、これからが本当の正念場だといえる。
なぜなら、解決金支払い対象外となった407物件のうち、289物件・182人のオーナーが示談に応じるかどうかは、まだ決まっていないからだ。
次ページでは、急展開を迎えた2025年12月以降の動きを振り返るとともに、国会で焦点が当てられた「処分行員リスト」や今後の展開について詳報する。与野党議員をはじめ政治を巻き込んだ動きに、監督官庁も頭を悩ます。着地点の見えない“泥沼”のアパマン問題の行方を追う。







