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地方銀行の再編は、大手・中堅地銀による“攻め”の広域化だけで進んでいるわけではない。その背後で再編圧力を強めているのが金融庁だ。同庁が特に懸念するのは、人口減少地域で単独生き残りの道筋を描きにくい中小地銀、いわば“売れ残り地銀”である。同庁は2024年秋から、地銀トップに持続可能性を問う対話を本格化し、経営統合を含む踏み込んだ判断を促している。長期連載『金融インサイド』内の特集『地銀再編サバイバル 売れ残り回避の最終戦』の#3で、対話の狙いと、今後の地銀再編で金融庁が果たすべき役割を読み解く。(ダイヤモンド編集部 高野 豪)
金融庁が危惧する「売れ残り地銀」
規模に応じた“二面作戦”へ転換
「(地銀の)数が多過ぎる」「再編も一つの選択肢」――。
2020年9月、自民党総裁選挙に出馬し、後に首相となった菅義偉官房長官(当時)の発言が、地方銀行の再編の号砲となった。
だが、金融庁はこの発言より前から、地銀の数の多さに懐疑的な見方を示していた。18年4月、歯に衣着せぬ発言から「史上最強」と評される森信親長官の任期中に「地域金融の課題と競争のあり方」が公表されたのだ。
この報告書は、都道府県別に持続可能性を色分けし、複数行だと不採算な地域を明確にした。試算ではじき出されたのは、1行単独(地域トップ行のシェアが100%)でも不採算な地域は「23県」、1行単独なら存続可能な地域は「13道府県」というシビアな数字だった。
再編を迫る内容に読めたため、地銀界は猛反発。その結果、当局がこの報告書について公の場で触れることはなくなった。
こうした「上から目線」で再編を迫るやり方では、建設的な対話などできるはずがない。その苦い教訓を踏まえ、同庁が新たに打ち出しているのが、規模別に「見守り」と「対話」を使い分ける二面作戦である。
つまり、大手~中堅規模の地銀による自発的な“攻めの再編”を静観する一方で、小規模の“売れ残り”地銀には対話を通じて経営統合などを含む決断を促すというものだ。
「金利ある世界」への突入とともに、生き残りに向けたサバイバル時代が幕を開けた。だが、この時代の波に乗れない小規模地銀に対する懸念は強まる一方だ。
次ページでは、二面作戦の真意を読み解くとともに、同庁幹部と地銀首脳との間で本格化する「持続可能性を問う対話」の全容をつまびらかにする。地銀の経営統合・合併を独禁法の適用除外とする特例法の申請期限が残り5年弱に迫る中、当局が売れ残り地銀に投じるメッセージとは何か。







