FRBパウエル議長とECBラガルド総裁FRBパウエル議長とECBラガルド総裁 Photo:Federal Reserve, Anadolu/gettyimages

中央銀行を悩ませるイラン紛争
インフレ期待上昇と景気悪化

 イラン紛争がもたらすエネルギー価格を中心とする供給要因が主導するインフレに対して、世界中の中央銀行は金融政策がどのように対応すべきか悩んでいる。

 インフレが加速すると企業収益や家計の実質購買力の毀損を通じて景気を悪化させ、ひいては物価を下押しする。この点から考えると、利下げによる需要下支えが望ましい。

 一方で、一時的な供給ショックであっても、インフレが上昇・高止まりすると人々のインフレ期待を高め、価格転嫁や賃金上昇を通じて自己実現的に高インフレを招く心配もある。22年のウクライナ戦争やサプライチェーン混乱がもたらした供給インフレは記憶に新しい。一過性としてやり過ごすことのリスクを重視すると、利上げが賢明な対応となる。

 世界の中央銀行は当面、様子見姿勢を続ける可能性が高いが、その後の政策の方向性に関する見方は分かれる。

 オックスフォード・エコノミクスは、米連邦制度準備理事会(FRB)が6月と9月に利下げを行うという見通しを維持している。ちなみに、市場の大勢は金利据え置きを予想しているようだ。

 一方、欧州中央銀行(ECB)については、従来の金利据え置きの予想を変更し、今年6月と7月の2回の利上げを織り込んだ。市場の見方も年2回利上げという見方が大勢のようだ。

 FRBは利下げ、ECBは利上げと異なる政策の方向を予想するのは、利上げを促す力と利下げを促す力のいずれが大きいかを定量的な経済予測に基づいて比較・考量した結果だ。