米国とイスラエルによる共同攻撃で破壊されたイラン・テヘランの建物。紛争の収束時期は未だ見通せない Photo:Majid Saeedi/gettyimages
トランプ米大統領のイラン情勢を巡る発言に、株式市場は以前ほど大きく反応しなくなっている。だが、ホルムズ海峡の行方や原油高の長期化リスクが消えたわけではない。専門家5人に行ったアンケートから、イラン情勢の収束「短期」「中期」「長期」の3シナリオ別に、日経平均株価や企業業績、日米金融政策の分岐点を探った。(ダイヤモンド編集部編集委員 竹田孝洋)
市場はトランプ発言への耐性強めるが
原油と停戦への不透明感は残る
4月6日午後(米東部時間、日本時間7日午前)、ドナルド・トランプ米大統領はイラン情勢について記者会見を開いた。
1日午後9時(同2日午前10時)に続くイラン情勢に関する発信の場だったが、前回同様、停戦に向けた具体的な内容は示されなかった。その一方で、7日午後8時(日本時間8日午前9時)までにイランがホルムズ海峡を開放しなければ、橋や発電施設を攻撃すると期限を区切って警告し、改めて強硬姿勢を鮮明にした。
1日の演説前、ニューヨークダウは前日比224ドル高の4万6565ドルと3日続伸していた。だが、演説で停戦に向けた具体的な道筋が示されなかったことが失望を誘い、演説の最中からニューヨークダウ先物は急落した。それを受け、2日の日経平均株価も前日比1276円安の5万2463円まで下落した。
一方、今回の会見を受けた6日のニューヨークダウは、前日比165ドル高の4万6669ドルで取引を終えた。7日の日経平均株価も前日比15円高の5万3429円となり、停戦に向けた具体的な言及がなかったこと自体を失望材料とは受け止めず、強硬姿勢の再確認にも大きく動揺しなかったようだ。
トランプ大統領はこれまで、イランに対し軍事力の行使を背景に期限を区切った要求を繰り返してきたが、その度に期限を延長してきた。株式市場は、今回も改めて延期されるか、あるいは情勢が急変しない限り、直ちに深刻な事態には至らないと見透かしているようにみえる。
停戦を急ぎたいトランプ大統領に対し、イラン側は核能力の解体などを求める米国の停戦案を拒否した。逆に、制裁解除など10項目を条件とする停戦案を提示しており、ホルムズ海峡の封鎖解除を含めた紛争終結への道筋は依然として不透明だ。
株式市場はトランプ大統領の発言に一喜一憂しにくくなっているものの、情勢を覆う不透明感が晴れたわけではない。
今後のイラン情勢と株式相場の行方をどうみるか。ダイヤモンド編集部は専門家5人にアンケートを実施し、イラン紛争の収束時期のメインシナリオと日本株の見通しや注目業種についてお届けした(『イラン情勢“短期収束”で日経平均「年末6万円」がメインシナリオ!? 日本株の行方と注目業種をプロ5人が徹底予測』参照)。
とはいえ、紛争の収束時期については、短期から長期までさまざまな見立てがあり、シナリオによっても株価の見通しは異なってくる。今回は、4月中に収束する「短期」、米国の中間選挙前の10月中旬ごろまでに収束する「中期」、終結のメドが立たずに年をまたぐ「長期」の3パターンについて、それぞれ2026年6月末と12月末時点の日経平均株価の水準、企業業績、日米中央銀行の政策金利動向の予想など、識者によるアンケート結果の詳細を公開する。
識者の回答では、終結が年を越す紛争「長期化」の場合、原油高騰による採算悪化で2026年度の企業業績が減益となり、日経平均株価は4万円台に下落するとの見方もあった。
次ページでは、識者5人によるアンケート結果を一挙掲載する。







