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止まらない雇用増勢の鈍化
労働供給の構造的な減速
米国の雇用者数の増加ペースが趨勢的な低下を続けている。コロナ禍下で大きく振れた後は低下の動きに歯止めが掛からず、最近はゼロ近傍に近づいている(図表1)。
雇用の変化は労働力への需要と供給の関係から決まる。このところの雇用の趨勢的な低下は、景気などの影響を受けた労働需要の弱さだけで説明出来ない。
経営者がトランプ関税やイラン紛争がもたらす不確実性の高まりを受けて採用に慎重になっている面もあるが、その影響は限定的だ。
雇用の趨勢的な増勢鈍化は、労働供給の構造的な伸び悩みが大きく影響しており、その傾向は今後一段と強まる。経営者が雇用を増やそうと思っても、雇用増の余地がなくなってきているのだ。
経済学では労働需給のバランスが取れて物価が安定する長期均衡状態で成立する失業率を「自然失業率」と呼ぶが、米国の失業率はこれに近づいている。
米国における労働供給の伸び悩みの背景には、少子高齢化の進展に加えて、トランプ政権下の急速に移民流入数の減速があり、その結果、労働力人口が伸び悩んでいる。加えて、労働力人口のうち実際に働こうとする人の比率を示す労働参加率も、昨年頃から低下傾向に入った。
この結果、オックスフォード・エコノミクスは、米国の雇用者数が2030年にかけてほぼ横這いで推移すると予測する。米国は「雇用なき成長」の時代に入ったのだ。








