英国のアンディ・バーナム首相(左)とバーナム氏の後任を決めるグレーター・マンチェスター市長選挙で当選した労働党のベヴ・クレイグ氏=8月1日 Photo:Christopher Furlong/gettyimages
過去10年で7人目の首相、直前は市長
地方経済や生活者の足元の課題を重視
アンディ・バーナム氏が7月20日、英国の新しい首相に就任した。
今年5月の統一地方選における労働党の惨敗後、キア・スターマー前首相が辞任を余儀なくされたのを受けての登板だが、過去10年間で首相交代は6回目7人目の首相となる(図表1)。
英国ではEU離脱(Brexit)を国民投票で決めた2016年以降、短期間での首相交代が常態化している。
背景には、EU離脱を巡る混乱やその後のコロナ禍、ロシアのウクライナ侵攻に伴う資源・穀物価格の高騰を機にした物価高などによる経済の停滞で、有権者の既成政党への不満や不信が強まっていることがありそうだ。
バーナム新首相は、直前のグレーター・マンチェスター市長時代の実績をアピールし、「地方分権」と、「生活コストの引き下げ」を経済活性化策の柱に掲げる。
就任3日後には、首相官邸の一部機能をマンチェスターに移したほか、戦後最大規模の公営住宅建設や、水道・住宅・エネルギー・交通分野の公的管理強化などを打ち出した。
その考え方は、家賃引き下げの補助や生活インフラ整備を進める米民主党左派のマムダニ・ニューヨーク市長の発想とも共通する。
格差が拡大するなかで、いわば地方経済や生活者の足元の課題解決を優先しようというものだ。英国も日本と同様に財政状況は厳しく、具体的にどのような政策を打ち出し成果を上げられるかは未知数だ。
だが筆者は、それ以上に英経済再生の鍵をにぎるのは産業政策にあると考える。しかもその方向性はバーナム首相が目指そうとする方向とは逆だ。







