若手だけではない、管理職に広がる「見えない孤立」
孤立というと、新入社員や若手社員の職場適応や早期離職などが注目されがちだ。しかし、石田教授は、企業がより危機感を持つべきなのは、「中間管理職の孤立」だと指摘する。
石田 最近、管理職の方からよく聞くのが、「人事のお墨付きがないと指導できない」という言葉です。昔は多少厳しいことを言っても、それまで築いてきた関係性のなかで受け止めてもらえる部分がありました。しかしいまは、時代的にそれが難しい。結果として、管理職自身がすごく慎重になり、誰にも本音を言えず、孤立していくケースが増えているのです。
管理職は、上からは成果や責任を問われる一方で、部下に対しては細やかな配慮が求められる立場にあります。結果として、「何をどこまでやっていいのか分からない」状態に置かれやすい。部下との距離を縮めようとすれば「過度な介入」と受け取られ、距離を置けば「放任だ」「育成していない」と評価されることもあります。その板挟みのなかで、本音を話せる相手を失ってしまうケースが増えています。管理職が孤立すれば、組織全体のコミュニケーションは確実に細っていきます。非常に危惧すべき事態だと考えます。
「孤立」は、ある日突然起こるものではない。ちょっとした会話を避ける。誘いを断ることが増える。相談することをためらう。そうした小さなことの積み重ねが、人との接点を少しずつ減らし、やがて、「誰ともつながれない」状態をつくり出していく。石田教授は、人付き合いを避ける心理を、「階段」と「エスカレーター」に例えて説明する。
石田 「人付き合いを避ける」というのは、いうなれば「階段ではなく、エスカレーターに乗るようなもの」です。2階に上がるのに階段か、エスカレーターか選べるとしたら、やはり楽なエスカレーターを選びがちです。しかし、一度エスカレーターに慣れてしまうと、階段を上るのがどんどん億劫になる。人間関係も同じで、一人でいるのは気楽で、人と関わるのは楽しいだけでなく、面倒なこともあります。しかし、面倒だからと避けていると、人とつながる力そのものが衰えてしまいます。
人付き合いを億劫だと感じる気持ちは、誰にでもあります。しかし、関係をそのまま断ち続ければ、孤立は深まっていくばかりです。だからこそ、個人の努力だけに頼らず、「つながり続けられる仕組み」を組織として用意することが重要です。








