従来、「仕事内容のミスマッチ」というと、「思っていたより仕事がきつかった」という方向で考えがちだった。ところが現在は逆に、「思っていたほど仕事をさせてもらえない」「成長につながる仕事を任せてもらえない」というミスマッチも存在するのではないかと考えられる。

 企業側も、何も対策を講じていないわけではない。早期離職対策として多いのは、「直属の上司との定期面談」「人事など第三者によるフォローアップ面談」「ランチや飲み会などの歓迎イベント」などである。ただし、 歓迎イベントはほとんど成果が上がらないなど、効果には濃淡がある(図2参照)。

図2 入社者の定着率向上のための施策において、最も効果があったと感じる施策

アンケート調査結果出所:人事のミカタ
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 つまり企業は、コミュニケーションを増やして定着させようとしている。ところが企業からは、「3年目頃、育ってこれからという時に辞める」「不満が出ていたわけでもないのに突然退職を申し出る」といった悩みも寄せられている。

 面談の「回数」だけ増やしても、本人が成長している実感を持てなければ、定着にはつながらないのではないか。「最近どう?」「無理していない?」「困ったことはない?」というだけではなく、「次にどんな仕事をしたいか」「どんな能力を身につけたいか」「今の仕事が将来どこにつながるのか」といったことまで具体的に話す必要があるようだ。

「辞めたら採ればいい」
経営層との深刻な温度差

 若手の早期離職を防ぐには、上司との面談やフォロー、成長機会の提供などが重要になる。ところが、企業の現場から聞こえてくる声を見ると、それ以前の問題を抱えている会社も少なくない。経営層と現場との間に、早期離職に対する深刻な意識のギャップがあるのだ。

 ある企業からは、部署異動後の退職を防ぐためにフォローをしたいと考えているものの、上層部は「異動は命令だから」として、異動前後のフォローをする考えがない。そもそも社員教育の文化が乏しく、フォローできる人材も少ないという声が寄せられている。

 また、早期退職が多い部署について、責任者のマネジメント能力に問題があることを上層部も把握しながら、目を背けているという声もあった。

 さらに深刻なのが、社員数約200人に対して、1年間の離職者が60人を超えたという企業だ。中途採用は約35人にとどまり、社員数そのものが減少している。それでも経営層は、「辞めたら採用すればいい、3年働いてくれればいい」という考えを変えないという。