これまで感じていた今の仕事への「もどかしさ」に改めて向き合ったAさんは、「もっと現場の近くで、当事者として事業の成長を肌で感じられる仕事がしたい」と転職活動を開始しました。

「飾らない本音」の開示と
「熱量を持てるテーマ」の再発見

 転職活動を始めたものの、Aさんは「転職理由はできるだけ前向きな方がよいのではないか?」という考えにぶつかります。「自分の仕事と現場のギャップにモヤモヤしている」という本音を語れば、企業からネガティブに捉えられるのではないかと心配になり、身動きがとれなくなっていたのです。

 その悩みに対し、私はキャリアアドバイザーとして次のように助言しました。

「面接で重要なのは、無理に作った言葉で語ることではなく、第三者が聞いて『それなら転職を考えるのも自然だ』と客観的に納得できる理由かどうかです。ありのままの課題意識を伝えても、理解してくれる企業を探しましょう」

 このアドバイスにより肩の荷が下りたAさんは、客観的な事実と本音を誠実に言語化する方向へシフトしました。

 同時に、キャリアアドバイザーである私と共に「自分はどんなテーマに情熱を注ぎたいのか」を深掘りしました。

 これまでの業務を振り返る中で、Aさんは「人は何によって動かされるのか」「人の感情や熱狂はどんな仕組みで生まれるのか」というテーマに強い関心があることに気づきます。

 単にデータを分析するだけでなく、人の感情を動かす当事者になりたいと考えたAさんは、従来経験してきた業界にとらわれず、エンタメやIP(キャラクタービジネスなどの知的財産)、ゲームといった「人の熱狂をつくる業界」へ選択肢を広げました。

 選考を進める中で出合ったのが、ある大手エンタメ系企業の「新規事業データアナリスト」のポジションでした。同社のこのポジションなら、事業オーナーサイドに立ちながら、自ら施策を一気通貫で手掛ける「手触り感」を得られると感じたのです。