選考が進むにつれ、Aさんは他社からのオファーとも迷いが生じます。そこでキャリアアドバイザーとの壁打ちを通じて、それぞれの企業のメリット・デメリットや懸念点を一つひとつ洗い出していきました。

 思考を整理していく中で、自身が求めていた「事業オーナーサイドでの手触り感」を最も実現できるのはどこか、おのずと答えが明確になり、同社への入社を決意。求めていた手触り感のある環境だけでなく、年収アップという結果にたどり着きました。

「得意なこと×情熱」の
掛け合わせで得た機会

 なぜAさんは、異業界への挑戦と年収アップを実現できたのでしょうか。要因は大きく二つあります。

 第一に、「現状へのモヤモヤ」を感情論で終わらせず、「客観的な構造課題」として捉え直した点です。「ホールディングスと事業会社という構造上の分断があり、自身の介在価値を最大化するには事業オーナー側に立つ必要がある」と冷静にロジックを組み立てたからこそ、面接官にとっても納得感の高いストーリーとなりました。

 第二に、自身の持ち味である「データアナリティクススキル」に、「人が熱狂する仕組み」という情熱を掛け合わせた点です。職種という軸はブレさせず、心がワクワクする領域へ軸足を移したことで、より自身のモチベーションが高まるポジションへ転職することができたのです。

納得のいくキャリアを描くための
三つのヒントとは?

 Aさんのように、現状のキャリアに一定の成果を感じつつもモヤモヤを抱えているビジネスパーソンは少なくありません。読者の皆さんが自分らしいキャリアを切り開くために活用できるヒントとなる、三つの視点をお伝えします。

1.    「きれいに飾った建前」ではなく「客観的に納得できる本音」を語る 

 転職活動において、「ネガティブな理由は隠さなければ」と構えてしまう人は多いものです。しかし、採用側が知りたいのは無理につくられた志望動機ではなく、「なぜ環境を変える必要があるのか」という筋の通った理由です。

 第三者が聞いて納得できる客観的な事実と本音を伝えることで、双方にとって偽りのないマッチングを生みます。