あの「コーワ」が開発した超小型モビリティ
「コボット θ(シータ)」をメディア初試乗

 博多と小倉のちょうど中間の地域。「海賊と呼ばれた男」(講談社刊・百田尚樹著)の主人公のモデル、出光興産創業者・出光佐三の生まれ故郷・旧赤間村を含む、福岡県宗像(むなかた)市。

 同市内、JR鹿児島本線の東郷駅から北東へタクシーで15分程、釣川沿いに小さな工場がある。ここが、“ウナコーワ”や“キャベジンコーワ”で知られる興和株式会社(本社:愛知県名古屋市西区)が2012年4月に完全子会社化した次世代小型移動体ベンチャー、「コボット」の本社と開発本部である。

コボット「θ(シータ)」。パッと見た目にも、かなり小さい Photo by Kenji Momota

 その駐車場で、メディアでは本邦初公開、いや世界初公開となる「コボットθ(シータ)」に試乗した。

 同車は、タンデム(前後ふたり乗り)で、国土交通省が近年中に法整備を行う予定の超小型モビリティを念頭に置いて開発された。本年度に、宗像市と福岡県北西部の糸島市で、それぞれ1台を使った実証試験が行われる。

 寸法は、全長×全幅×全高=2070×1215×1605(mm)。これは、日産「New Mobilityコンセプト」より、全長で270mm、全幅で15mm短く、全高では145mm高い。車両重量460kgで、同ドア付き車より40kg軽い。

 最高速度は60km/h、電池はリチウムイオン二次電池。コネクターはSAE J1772を使用。充電時間は交流100Vで6時間程度、交流200Vで3時間程度。満充電での航続距離は50km程度とした。

全高が高くキャノピー型の車内。車体右側には、側面衝突対応とシャーシ剛性確保のため、Bピラーがある。コボット本社工場内にて Photo by Kenji Momota

 進行方向左側のドアを開けて乗り込む。右側には側面衝突対応と車体剛性アップ、さらにシートベルト着用のためにBピラーとしての黒色の柱がある。

 運転席の雰囲気は、トヨタ車体「コムス」や日産「New Mobilityコンセプト」とはだいぶ違う。天井が高く、大きく囲われたキャノピーの中にいるようなイメージが強い。また、運転席の座面が立っており、ステアリングとシートが近く、ステアリングを両手で抱えるようなイメージ。アクセルとブレーキペダルの位置も運転者側に近く、上から踏みつけるように踏む。