潜在成長率は5カ国で最低
人口減が奪った成長の土台

 図2-2は、『経済財政白書』2024年度版が掲げたもので、1986年から2023年までを4つの時期に分けて、日・米・英・独・仏の潜在成長率(生産力がフル稼働したときの成長率)と、その要因構成の推計を比較している。なお潜在成長率は、それを上回ったり下回ったりする事後の実際の成長率と、やや長い目でみれば大きく違わない。

図2-2 主要国の潜在成長率と要因構成同書より転載 拡大画像表示

 この時期区分では、2000年以降、日本の潜在成長率は1%未満で5カ国中最低にある。

 要因分解をみてみると、日本の労働投入は2000年以前から一貫してマイナス要因になっており、マイナスは日本だけである。基本原因である現役人口の減少が経済の基礎力を奪っていることがわかる。

 次に全要素生産性の伸びは、他国と同等かやや高いレベルで、特に低いわけではない。これは一般に流布しているイメージと異なるかもしれないが、他のいくつかの分析でも同じ結果が出ている。

 これに対して、労働投入とともに日本の低成長の主因となっているのは、資本投入の低水準である。かつては他国より目立って高く、日本の成長の特徴であったが、2000年以降は5カ国中最低で、ゼロに近い。

――以上の基本的な事実は重要であり、押さえておきたい。

投資だけが伸びない企業経営
利益と配当は大幅に増加

 売上高から原材料費を差し引いたものが付加価値(新たにつくりだした価値)であり、それが労働(人件費)と資本(利益)に分けられる。

 人件費の割合を労働分配率と呼ぶ。その労働分配率は、1990年代には、売上高と付加価値が停滞し、対して人件費は固定傾向だったために上昇したが、そののち90年代末から低下した。