FRBを襲うAI投資ブームの“誤算”、インフレ2%鎮静化「成功シナリオ」の高いハードルPhoto:EPA=JIJI

FRB(米連邦準備制度理事会)は高成長と雇用を維持しながら、インフレ率を2%へ戻すシナリオを描く。だが、過去の物価見通しは外れ続けてきた。さらにAI(人工知能)投資は1990年代のITブームになぞらえれば、まだ拡大局面の入り口にある。巨額投資が需要と長期金利を押し上げる中、FRBはインフレを鎮静化できるのか。その実現可能性を検証する。(みずほ総合研究所調査部プリンシパル 小野 亮)

FRBが描く「高成長・完全雇用・インフレ鎮静化」の
成功シナリオ

 果たしてFRB(米連邦準備制度理事会)は、完全雇用を保ち、AI(人工知能)ブームに冷や水を浴びせることもなく、高インフレに終止符を打つことができるのか。

 FOMC(米連邦公開市場委員会)参加者の9月の経済見通しには、彼ら自身の「成功」への期待が映し出されている。政策金利パスを表すドットチャートはタカ派的だ。2026年内の追加利上げ(0.25%)が示され、27年も、中央値こそ「据え置き」だが、それを見込むのはウォーシュFRB議長を除く18人の参加者中6人にとどまり、8人は「追加利上げ(0.25%)」を見込む。

 それでも経済成長率は26年の2.3%から27年には2.4%へ緩やかに加速し、失業率は4.1%で横ばいが続く。そして目下の最大の懸念材料であるインフレ率、PCE(個人消費支出)デフレータも26年の3.7%から27年には2.3%へ、コアPCEで3.4%から2.5%へと大きく低下する。高成長と完全雇用を維持しながら、インフレを鎮静化するシナリオである。

 もっとも、コアインフレ率がFRBのインフレ目標と同じ2.0%に到達するのは29年で、なお3年を要する。FOMCにとっては許容し得る時間軸なのだろう。

 次ページでは、3年先の見通しが示される毎年9月の見通しをパンデミック以降から振り返りながら、今回のインフレ鎮静化シナリオの実現可能性を検証する。