世界経済は、各国の懸命な景気刺激策と中央銀行の超金融緩和政策により、底打ちから回復傾向をたどり始めた。
景況感指数、景気先行指数、鉱工業生産指数などに底打ち感が明瞭なのは先進国に共通である。ただし注意すべきは、相当部分が、公的部門の支援策で回復を演出されている点だ。
典型例は、米国のCARS(新車買い替え支援制度)である。この奨励策は、「中古車を燃費のよい新車に買い替えると、最大4500ドルの値引きを受けられる」というもの。当初の予算枠は10億ドルだったが、買い替えオーダーが殺到し1週間程度で消費してしまった。
その後20億ドル追加され計30億ドルの枠となっていたが、ラフッド運輸長官は、利用が短期間に集中したことから、8月24日にCARSを終了すると発表した。
このCARSの効果は、マクロ経済統計にまでインパクトを与えている。7月の雇用統計では、自動車・同部品の雇用者数が+2万8200人となり、非農業部門雇用者数の減少幅抑制に貢献した。